【卒業生対談】「飯塚高校での経験が、今の自分をつくっている」APU今村一道さん×関西大学 村井天さん

立命館アジア太平洋大学(APU)アジア太平洋学部に所属し、国際関係(IR)を専攻しながらグローバルの学びを深めてきた今村一道さん。関西大学 経済学部で体育会サッカー部に所属し、MFとして多くの試合に出場してきた村井天さん。
飯塚高校を卒業し、いまはそれぞれの大学で活躍するふたりは、クラスは別だったもののともに探究プロジェクト(特進コース、当時「特進II類」)所属で、2023年3月の卒業生です。
進んだ道は違っても、ふたりが口を揃えて言うのは「高校での経験が今の自分の力になっている」ということ。大学での生活や飯塚高校時代の思い出、これからの夢について、ざっくばらんに語り合ってもらいました。
授業、部活・サークル……大学生活のリアル
――まずは、大学でどんなことを学んでいるのか、また大学や学部を選んだきっかけについて教えてください。

今村:国際関係(IR)を専攻しています。国際紛争や人権、環境問題といった地球規模の課題を法律や政治、経済など多角的な視点から考え、解決の道を探る学びです。高校時代には模擬国連や放課後のグローバル・インテンシヴで、さまざまな国際問題に触れたり、留学生と交流したりする機会がありました。そうした経験を通して「国際的なことをもっと深く学びたい」と思い、APUへの進学を決めました。

村井:自分は関西大学の経済学部に所属しています。今入っているゼミでは国際系のテーマを扱っていて、歴史と経済を組み合わせながら、過去から現代までの国際経済について学んでいるところです。
――部活やサークル活動についても教えてください。
今村:大学ではバレーボールサークルに入っています。高校時代はやっていなかったんですが、中学以来久しぶりに始めてみたら楽しくて、気づけば3年生の今まで続けています。メンバーはおよそ120人。僕は幹部のような立場でまとめ役をしていて、出席管理をしたり、一人ひとりに合わせた声かけをしたりしています。初心者も多いので、経験者とのレベル差をどう埋めるかが難しいんですけど、先輩に相談したり周りの意見を聞いたりしながら工夫してきました。そうした経験を通じて、自分自身も大きく成長できたと感じています。

サークル以外では、2年生まで「FES(FirstEducationStep)」という学生団体に所属していました。新入生がよりよい大学生活を送り、友達をつくれるように交流の場をつくる活動で、スポーツイベントを開いたり、公園でピクニックをしたりして、自然に仲良くなれるきっかけをサポートしていました。
村井:僕は体育会サッカー部に所属しています。入部したときはレベルの高さに驚きました。最初にケガをして何カ月かプレーできず、1年目はBチームからのスタートでしたが、夏ごろにトップチームに上がることができました。関西と関東ではサッカーの質が違うとよく言われていて、関西は「上手さ」、関東は「フィジカルの強さ」が特徴です。飯塚高校のときも上手い選手は多かったですが、大学ではさらに身長も高く、スピードもあって、フィジカルの差を強く感じました。今は自分も力をつけ、入部当初より成長できていると思います。
平日は朝7時から8時半まで練習があり、そのあと9時から授業が始まります。土日は公式戦があることが多く、なければ練習。夜に練習することはほとんどなく、午前中で終わるので、午後は授業やアルバイト、自分のコンディションづくりに充てています。
新たな経験を通じ、人として成長している
――この3年間で成長したと感じることはありますか?
村井:一番の成長は「他人に関心を持ち、応援できるようになったこと」です。関西大学体育会サッカー部には、他のカテゴリーの試合を応援しに行く文化があって、最初は驚きました。
飯塚高校時代は自分のカテゴリーでの活動が中心だったので、ほかのカテゴリーの応援に出向く機会がなかったんです。でも、関西大学では「応援でも日本一を目指そう」という雰囲気があって、その環境の中で人のことを考えて行動できるようになったのは大きな成長だと思います。

今村:僕は中学まで部活に入っていて、大学からはサークルに所属しました。入学前は「サークルってスポーツより人付き合いが中心なんじゃないかな」と思っていたんですが、実際に入ってみるとその通りで、先輩や後輩との交流がメインで、バレーボールはどちらかというとサブ的な位置付けです。

でも村井くんの話を聞いて、幼い頃から続けてきたサッカーを大学まで本格的に続け、そのなかで人に関心を持てるようになったというのは本当にすごいと思いました。スポーツには人を大きく成長させる力があるんだなと感じます。
高校での経験は今につながっている
――ここからは高校時代のことを振り返っていきます。まず、飯塚高校に進学した理由を教えてください。
村井:中学時代に所属していたクラブチームの監督から「面白いチームがあるよ」と紹介されて練習に参加し、「ここで3年間を過ごそう」と決めました。地元・山口を離れることになりましたが、それでも飯塚高校サッカー部に入りたいという思いが強かったんです。1歳上でキャプテンを務めていた中川知哉くん(現・びわこ成蹊スポーツ大学4年生)の存在も大きな後押しになりました。
今村:「英語を使いたい、学びたい」という気持ちがもともと強くありました。飯塚高校にはグローバルな活動が充実していると聞いていましたし、他校の英語科と比べても惹かれるものがありました。僕は飯塚出身で、幼いころから飯塚高校系列の認定こども園 愛宕幼稚園に通っており、そのときからずっとお世話になってきた窪田太郎先生の影響も大きかったです。
――飯塚高校時代のハイライトや忘れられない出来事は?
村井:一番印象に残っているのは、2年生の県大会決勝で得点を決めたことです。でも、その翌年のインターハイ県予選ではPKを外してしまい、すごく落ち込みました。ただその経験があったからこそ、チームで「絶対に冬の選手権に行こう」と気持ちを切り替えられ、結果的に2年連続で全国の舞台に立つことができました。これも忘れられない大きな思い出です。
今村:僕のクラスは半分くらいがサッカー部だったんですが、英検やテスト勉強をすごくがんばっていて、「自分も負けてられないな」と刺激を受けました。特進コースなので勉強は当然なんですけど、サッカーと両立して本気で取り組む姿は本当にすごいなと思っていました。
村井:確かに今村くんのクラスには、練習後に寮へ戻ってからも真剣に勉強しているメンバーが何人かいたと思います。僕のクラスはそういう子ばかりではなかったかも(笑)。そういえば、今村くんは模擬国連に出ていましたよね。
今村:はい。模擬国連は特に印象に残っています。国の名前は知っていても、自分がその国の代表の立場から考えるのは初めてで、最初は何から手をつけていいかわかりませんでした。国のことを調べ、その状況を理解し、さらに世界の動きと結びつけて考えていく――そういうプロセスを踏む中で、見えてくるものがたくさんありました。その経験は今のAPUでの学びにも直結していて、「あのときやったことは確実に今につながっている」と強く実感しています。
感謝する心とオープンマインドを育めた

――飯塚高校時代に教わったことで、今でも大事にしていることを教えてください。
村井:中辻喜敬監督から「感謝の気持ちを持ちなさい」とよく言われていました。サッカー部員なら誰もが耳にした言葉だと思います。親をはじめ、サッカーや大学生活を支えてくれている人たちへの感謝を忘れないこと。基本的なことですが、とても大事だと思います。その気持ちを持っていると、どんなときも前向きでいられるんです。これは高校のときからずっと、自分の中で大切にしている考え方です。
今村:僕は「オープンマインドな姿勢でいること」を教わりました。日本人はこうだ、という固定的な考え方に縛られない柔らかい心の持ち方を先生から学びましたし、留学生との交流や模擬国連の経験を通して、自分の考えを外に出して人に伝える力を鍛えられました。大学でも国際学生(APUの留学生)と話したり、グループワークをしたりするときに役立っています。できることは自信を持ってやる、できないことは素直に「どうしたらいいですか?」と聞く。そのほうが相手も答えやすくて、良い関係が生まれるんです。
村井:自分も今村くんの話に近いですが、「ポジティブに考えること」を学びました。ミスやPKの失敗で落ち込むこともありましたが、ネガティブを引きずらず前を向く習慣が身についたんです。大学でもケガをして気持ちが沈んだときがありましたが、「弱い部分を鍛えるチャンス」と捉えて筋トレやリハビリに取り組み、復帰につなげました。どんな状況でも「ここから」と切り替える力は、今も自分を支えていると思います。
今村:高校で学んだことって、今でも自分のベースになっているよね。僕の場合は「自分の頭で考えるクセ」がついたことも大きいです。中学までは与えられた課題をこなすことが多かったですが、高校に入ってからは「まず自分でやり方を考えなさい」と言われることが増えて、そのなかで一気に成長できたと感じています。
豊かな経験が「好き」を見つけ、深めるきっかけに
――将来についても聞かせてください。
今村:今はまだいろいろな可能性を探っている段階です。チャンスがあれば大学院に進学したい気持ちもありますし、もしそれが難しければ就職を考えています。一応、就活は進めていますが「絶対にこの仕事がしたい」というものはまだ決まっていません。ただ、ひとつ興味があるのは教員です。
1年生のときに英会話教室でアシスタントのアルバイトをして、英語を教えるのがとても楽しいと感じました。自分が先生として教壇に立つ姿を想像してみて、「この道もありかもしれない」と思うようになりました。

村井:僕はプロサッカー選手を目指しています。できるだけ上のカテゴリーで挑戦したいと思っています。将来はプレーで観客を沸かせられる選手、そして何より「応援される選手」になりたいです。高校時代から「応援される人になりなさい」と言われてきましたし、自分もそういう存在でありたいと思っています。
――最後に、中学生や保護者の方へのメッセージをお願いします。
今村:飯塚高校はグローバル教育に力を入れている学校です。僕自身、小さい頃から英語を学んでいたので、英語や国際分野に興味があり、この学校を選びました。もちろんほかの高校にも英語科はありますが、飯塚高校は英語だけにとどまらず、さまざまな分野に挑戦しながら「自分の核になる力」を伸ばせるのが大きな魅力だと感じています。
入学の時点で興味がはっきりしていなくても、英語や国際に少しでも関心があれば候補に入れる価値は十分あると思います。ここなら幅広い経験を通して、自分の「好き」や「心からやりたいこと」を見つけられますし、スキルだけでなく人としても大きく成長できるはずです。
村井:飯塚高校の魅力は、まず先生方が本当に個性的で面白いことです。今も在籍されている先生のなかでは、冨田敦史先生や畑中洋介先生が特に印象に残っています。そして、サッカー部をはじめとする部活動を通して、人間的に大きく成長できる環境があるのも強みだと思います。
また、コースも多彩で、県外出身の生徒や留学生も多く在籍しているので、さまざまな人と関わり、話を聞けるのも大きな魅力です。僕自身もサッカー部の仲間を含め、多くの出会いから刺激を受けました。振り返ってみても、飯塚高校に通って本当によかったと今でも感じています。
——素敵なお話をありがとうございました!
大学生活や将来の夢を語るふたりの言葉からは、高校で培った経験が確かな自信となっていることが伝わってきました。
飯塚高校は進路や夢がまだはっきりしていない人にとっては自分を成長させるきっかけと出会える場であり、すでに目標が明確な人にとっては、その夢をさらに深めて力強く伸ばしていける場でもあります。
ここで過ごす3年間は、必ずや次のステージにつながる大切な財産になるでしょう。
※記事内容は取材当時(2025年8月)のものです。
※大学生活に関する写真はおふたりよりご提供いただきました。
※記事内のコース名は当時の名称となります。
▶探究プロジェクト(特進コース)について詳しくはこちらを参照ください。