【合格者インタビュー】中央大学 文学部 松尾翼さん(健康スポーツコース)

令和7年度 総合型選抜において、飯塚高校では多くの生徒が志望大学への合格を勝ち取りました。今回は、中央大学 文学部に合格した松尾翼さん(健康スポーツコース3年生)に、飯塚高校での3年間の歩みと進路選択についてお話を伺いました。
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駅伝と向き合った3年間、自信を持てるようになった
——最初に、高校生活全体について伺います。駅伝部での活動を中心に過ごしてきた3年間だったと思います。今振り返ってみて、飯塚高校での高校生活はどんな時間だったと感じていますか。
高校生活の3年間は、本当にあっという間でしたが、自分が大きく変われた時間だったと思います。
入学前は、性格的にも今より内向的で、自分に自信を持てていませんでした。「全国を目指す」といった大きな目標を、現実的に考えられていたわけではありません。ですが、飯塚高校に入学して、レベルの高い環境で駅伝に取り組むようになり、少しずつ意識が変わっていきました。
地元の選手が集まっていて、日々の練習から常に刺激がありましたし、ライバルでありながら、同じ目標に向かって一緒に頑張れる仲間がいたことも、大きな支えになっていました。

——そんな中、松尾さんにとって転機になった出来事は何でしたか。
2年生の4月に出場した「金栗記念選抜陸上中長距離熊本大会(以下、金栗記念)」です。最終組のひとつ前の組で走り、初めて1位でゴールし、自己ベストも更新できました。
走る前は「勝てる」という確信は正直ありませんでした。ただ、前にいる選手を必死に追いかけて、気づいたら1位だった。その経験を通して、「自分も全国で戦えるかもしれない」と実感できたことが大きかったです。
その経験があったからこそ、全国高校駅伝(都大路)への出場や、全国男子駅伝で福岡県代表として走るといった経験にもつながったと思っています。
ただ、大きな大会に出たからといって、急に何かが変わったわけではなくて、日々の積み重ねの延長線上にあったという感覚です。
その積み重ねを経て自信がつき、人と話すことや、新しいことに前向きに向き合えるようになりました。駅伝を通して、競技面だけでなく、人としても成長できた3年間だったと思います。
——駅伝部創部36年目で初めて出場した都大路。あの舞台に立った経験は、松尾さんにとってどんな意味がありましたか。
都大路は、高校入学時からずっと目標にしてきた舞台でした。テレビで見ていた場所を自分が走っているという実感があり、走っている間は不思議と緊張よりも「楽しい」という気持ちが強かったです。
また、個人ではなく、チームで協力して全国に出場する経験を通して、仲間との関係性や雰囲気づくりの大切さを学びました。
——駅伝部での3年間を通して、指導者の存在も大きかったのではないでしょうか。顧問の佐藤先生は、松尾さんにとってどんな監督でしたか。
佐藤先生は「怒る監督」という印象はあまりありません。もちろん、楽なことばかりではないですし、厳しい場面もあります。でも、頭ごなしに怒るというより、「自分で気づかせてくれる」タイプの監督だと思っています。
指示されるというよりも、「今の自分はどうだったか」「何が足りなかったか」を考えさせられることが多くて。そうやって自分で気づいたことのほうが、あとからもずっと頭に残ると感じます。
走りのことだけではなくて、日々の姿勢や考え方も含めて、少しずつ自分が変わっていった感覚があります。競技面だけでなく、人として成長させてもらえました。
走ることで生まれた、まちとのつながり

——駅伝部として活動する中で、「飯塚高校ならではだな」と感じた経験や、地域の方との関わりで印象に残っていることはありますか。
一番印象に残っているのは、毎年8月中旬に飯塚市の商店街で行われる「10時間耐久リレー」です。
駅伝部が中心となって500mのコースを2km走ってリレー形式でつなぐイベントで、以前は学校のグラウンドで行われていました。地域と関わる取り組みが大切にされるようになってから、ここ数年は商店街で実施されるようになったと聞いています。
午前中は駅伝部のメンバーが中心となって走り、午後になると、地元のクラブチームの方や地域の方、保護者の方など、一般の方も一緒に参加できる形になります。当日受付で「500m走りたい」「1km走りたい」と距離を申告して参加できるので、本当に誰でも気軽に走れるイベントです。
競技として走るだけでなく、地域の方と同じコースを共有し、同じ時間を過ごすことで、「応援される側」と「地域の一員」という両方の立場を実感できる、特別な時間だと感じていました。

——地域との関わりを通して、どんな変化がありましたか。
都大路に出場してからは、街で声をかけていただくことが増えました。「この前テレビで見たよ」「頑張ってるね」といった言葉を直接もらえるようになり、自分たちの走りが、学校の中だけでなく、地域の方にも届いているんだと実感するようになりました。
街なか学園祭でのパレードや、飯塚市役所・福岡県庁への表敬訪問も印象に残っています。そうした場を通して、飯塚高校や駅伝部の活動が地域のニュースとして取り上げられ、応援してもらえていることを肌で感じました。
自分たちは多くの人に支えられて走れているということ、そして走ることで地域に少しでも元気や話題を届けられていることを改めて実感できたのは、大きな経験でした。
駅伝を通して、記録や順位だけでなく、「地域とつながる」という視点を持てるようになったことも、飯塚高校で学んだ大切なことのひとつだと思っています。
走りながら、進路を決める——競技と受験が重なった日々
——ここからは進路について伺っていきます。大学進学を意識し始めたのはいつ頃でしたか。
実は1年生の頃は、高校で競技を終えるつもりでした。大学まで駅伝を続けるというイメージは、正直あまりなかったと思います。
転機になったのは、2年生のときに出場した金栗記念です。その大会をきっかけに、いくつかの大学から声をかけていただくようになり、「自分でも、もう一段上に挑戦できるかもしれない」と考えるようになりました。そこから、大学でも競技を続けたいという気持ちが少しずつ強くなっていきました。
——数ある選択肢のうち、中央大学を選んだ理由を教えてください。
中央大学は、最初から現実的な選択肢だと思っていたわけではありません。箱根駅伝に出場しているような大学は、自分にとってまだ遠い存在だと感じていました。
そんな中で声をかけていただき、合宿や寮生活に参加する機会がありました。そこで印象に残ったのが、部全体の雰囲気です。やるときはしっかりやる一方で、オフの時間はきちんと切り替える。そのメリハリがはっきりしていて、自分の性格に合っていると感じました。
競技レベルの高さだけでなく、「ここでなら成長できそうだ」と思えたことが、中央大学を選んだ一番の理由です。
——受験準備は、どのように進めていったのでしょうか。
本格的に準備を始めたのは、受験の約1カ月前です。部活動や大会、学園祭の準備とも重なっていて、時間的な余裕はほとんどありませんでした。
総合型選抜では面接と小論文が課題だったため、やることを広げすぎず、「今の自分に必要なこと」に集中するようにしていました。長い時間を確保するのは難しかったので、短い時間でも質を意識して取り組むことを心がけていました。
——受験準備で、特に印象に残っていることはありますか。
面接では、「どう話すか」以前に、「どう向き合うか」を意識するようになりました。相手の反応を気にしすぎると緊張が強くなるため、自分の言葉や考えに集中できる状態をつくることを大切にしました。
そうした考え方や姿勢については、橘先生からアドバイスをいただきながら、少しずつ身につけていきました。朝早い時間にも関わらず練習に付き合ってくださり、本当にありがたかったです。
小論文では、国語が得意ではなかったこともあり不安がありました。沖永先生の指導のもと、いきなり完成度を求めるのではなく、少しずつ書く量を増やしながら、自分の考えを整理していく練習を重ねました。
書くたびに頭の中が整理されていき、最終的には、面接よりも小論文のほうが落ち着いて力を出せたと感じています。
限られた時間の中でも、先生方が一緒に考え、支えてくださったおかげで、自分なりに最後まで向き合い続けることができました。この経験は、競技とも通じる大きな学びになったと思います。
その先も走り続ける——目標と、これから進む人へ
——今後の目標についても教えてください。
大学では、駅伝だけでなくトラックレースでも活躍できる選手になりたいと考えています。箱根駅伝に出場することはもちろん大きな目標ですが、それだけではなく、まずは中央大学の中で結果を出し、「このチームで戦える選手になる」ということを一番の目標にしています。
自分の強みは、レースの終盤、特にラストで踏ん張れるところです。どれだけきつい状況でも、最後の100メートルは全力を出し切る。その走りだけは、これからも大事にしていきたいと思っています。
駅伝やレースを通して、見ている人には「最後まで諦めない姿」を感じてもらえたらうれしいです。結果だけでなく、走る姿勢そのものが、誰かの背中を少しでも押せるような選手になれたらと思っています。
——最後に、今後大学受験を経験する後輩や、高校選びを考えている中学生に向けて、メッセージをお願いします。
今振り返って思うのは、「早めに考え始めること」と「一人で抱え込まないこと」の大切さです。
高校1年生のうちから、はっきりした目標がなくても構いません。「将来どんなことをしてみたいか」「どんな環境で頑張りたいか」を少しずつ考えておくことで、選択の場面で迷いにくくなると思います。
また、受験や進路のことで不安になったときは、周りの大人に相談してほしいです。自分自身も、先生方に話を聞いてもらうことで考えが整理され、前に進むことができました。
飯塚高校には、部活動、学習、地域との関わりなど、いろいろな挑戦ができる環境があります。どんな経験も無駄にはならず、積み重ねたものは必ず次につながります。自分の「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、一歩ずつ進んでほしいと思います。
——素敵なお話をありがとうございました。
今後も合格者インタビューを順次掲載していきますので、ぜひご覧ください。
▶「健康スポーツコース(※)」について詳しくはこちらを参照ください。
※令和8年度より「ネクストアスリートプロジェクト」に名称変更
※記事内容は取材当時(2026年1月)のものです。
※写真は松尾さんよりご提供いただきました。

