「模擬国連大会」参加で得た手応えと成長【特進グローバル・冨士翔琉さんインタビュー】
飯塚高校では生徒たちにさまざまな挑戦の機会を用意しています。8月6日(火)〜7日(水)にかけて実施された「第8回全国高校教育模擬国連大会(以下、模擬国連大会)」(開催元:グローバル・クラスルーム日本協会)もそのひとつです。
複数の希望者がいましたが、選考の結果、本プログラムに本校代表のひとりとして参加した(飯塚高校からは4人が参加)、特進グローバルコース2年生の冨士翔琉さんにインタビューを実施しました。
冨士さんは昨年も模擬国連大会参加希望者としてエントリーしていましたが、今年二度目の挑戦で模擬国連大会への切符を勝ち取りました。
2日間に渡って行われる模擬国連大会では会議ごとに議題が設定され、その内容として人権や軍縮、経済、環境、紛争など、多岐に渡る国際問題が取り上げられています。国益を背負った各国大使という立場から、事前につくった政策を軸に議論や交渉、スピーチなどを行います。
貴重な経験と未知のテーマに関する探究、本校ならではのサポートが彼にどのような影響を与えたのか、どのような成長があったのかなどを探ります。
学校のサポートも得ながら、納得のいく準備ができた
——模擬国連大会への参加、お疲れさまでした。どのような課題に関して、どんな立場からどう主張をしたのかを教えてください。
与えられた課題は「薬剤耐性菌(AMR)への対応」で、大きく二つの論点を準備して臨みましたが、やや専門的なため一つ目の論点だけご紹介します。薬剤耐性菌に対する抗菌薬の使用を適正化することを挙げて、具体的には世界保健機関(WHO)に特別期間を設けることをコロンビア国連大使としての立場から提案しました。特別期間を設定することで、各国が研究や対策を進めやすくなると考えました。
——日常生活ではじっくり向き合う機会のなさそうなテーマですね。どれくらいの期間、どのような形で準備を進めていったのでしょうか。
本番1ヶ月前くらいに来る通達で、課題や自分の役割を知るので、準備期間は1ヶ月ほどになります。ワーキングペーパーと呼ばれる資料に基づいて調査を進めていきました。それに加えて、本番当日に投影しながらスピーチを行うためのポスターも作成しました。
リサーチ・資料作成の過程では、僕が所属するグローバル研究部顧問の先生をはじめ、複数の先生方から客観的なフィードバックをいただいたおかげで、問題点を明確にできて、改善していくことができました。
——入念に準備して本番へ臨んだのですね。議論はどのような流れで進んでいくのでしょうか。
複数の議場があり、各議場ごとに一つの結論にまとめる作業が行われました。まとめの案を作成する過程では、多くの国の賛同を集める必要がありました。各国からの支持を得て、共同で資料をまとめ上げて提出するといった流れです。僕たちのグループは南米各国の大使たちが集まっていて、南米の政策を共同で策定するという方向で進め、議論を重ねて決議案を作成し終了しました。
主体的なコミュニケーションの重要性を再確認し、実践できた
——準備期間も含めて模擬国連大会を通じて、印象に残っている出来事やエピソードを教えてください。
国連の議場に入った瞬間、その場の雰囲気に圧倒されて鼻血が出たことに自分でも驚きました(笑)。最初はそれくらい緊張していたんです。その後も不安で「大丈夫かな、これでいけるのかな」と自問自答していました。
1日目の午前中は緊張度合いがMAXでしたが、午後になって話し合いが進むにつれて、参加者とのコミュニケーションを深めることができ、徐々にリラックスできるようになりました。2日目には自分から積極的に動いていくことができ、高いモチベーションで議論に臨むことができました。
——飯塚高校の代表として参加していることで、大きなプレッシャーを感じていたのかもしれませんね。ただ、枠の外に思い切って飛び出していった勇気を感じました。今回の機会で自分の成長に気づいた瞬間についても教えてください。
僕はもともと緊張しやすく、特に初対面の人とはコミュニケーションをとるのが少し苦手です。自分から積極的にコミュニケーションを取るタイプでもありませんでした。
でも、模擬国連大会に参加して、現状を変えたいという思いが芽生えていました。緊張と格闘しながらも自分を奮い立たせて、積極的にコミュニケーションを取るように努めました。特に他国の代表者との協力を促すために、「共同で政策を作りませんか?」と提案するなど、積極的に関わるようにしました。
この経験から、自ら主体的にコミュニケーションを取ることの重要性を改めて理解し、その思考に基づいて行動できた点は成長かなと思います。今は学校生活でもできる限り自分から率先して人と対話するよう努めるようにもなりました。
未知の分野を知り、理解していく過程の楽しさを知った
——大きな成長がありましたね。他の学生にも模擬国連大会への参加をすすめたいと思いますか? その理由も教えてください。
興味関心やチャンスがあるならエントリーしてみてほしいです。僕が参加したときは日本語での議論が行われましたが、英語を使いたい人、人とのコミュニケーションをスムーズに取れるようになりたい人などには、とくに有益なプログラムだと思います。また、他国のことを学びたいと考えている人にとっても学びの多い機会になると感じます。
もうひとつ、まだ自分が知らないことへの理解を深めていくことの楽しさを知ったのも、とても良い体験だったと感じています。今回、薬剤耐性菌という言葉を初めて聞いたときは、本当に何のことか分からなかったんですが、自分なりに調べながら模擬国連大会に参加して議論する経験を通じて、理解がどんどん深まっていくのも楽しかったです。これをきっかけに、いろいろな未知の物事へも好奇心を持って、向き合っていきたいと思いました。
——参加して本当に良かったですね! これから模擬国連大会に参加したいと思っている後輩たちにアドバイスをお願いします。
参加が決まってからの1ヶ月間は特に集中的に取り組む必要がありますが、課題に時間がかかりすぎると他の重要な作業に充てる時間が削がれてしまいます。リサーチ時にはChatGPTのようなAIチャットツールをアシスタント的に活用したり、先生たちにも協力していただいたりしながら効率的に課題をこなし、本番で寄せられる質問への対策に時間をかける余裕を持っておくのが望ましいのではないかと思います。
——10月までオープンキャンパスを実施しており、中学生の皆さんもこの記事を目にすることが多いと思います。最後に、中学生の皆さんにも知ってほしい飯塚高校のよいところについて、冨士さんの視点で教えてください。
飯塚高校では学生がアクティブに参加できる環境が整っています。たとえば、留学やスピーチコンテストなど、実践的に英語を使えるさまざまな機会が用意され、学校は積極的にサポートしてくれます。
僕も昨年の1〜2月にタイで短期留学を経験しました。今年は韓国に短期留学する予定です。外の世界への興味を持つ生徒にとって、多くの経験を積み、自己成長を促す絶好のチャンスを提供してくれる学校だと思います。
——詳しく教えていただき、ありがとうございました!
(終)
飯塚高校では模擬国連大会を【国際社会への高度な理解とともに、協働性、主体的な課題解決能力を育むことを目的とする活動】と捉え、参加を計画しました。
生徒に対し良き学びの場を提供することができていれば幸いです。今後もさまざまな取り組みを通じて、生徒たちが実践的なグローバルの知見を得られるような機会を作ってまいります。
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