「『実験都市・飯塚』という新たなブランドを築いていけるのでは」(近畿大学 産業理工学部 建築・デザイン学科 教授 小池 博さん)

今年の秋も実施される飯塚高校の街なか学園祭。2024年の開催時にはとても大きな盛り上がりを見せました。学園祭の成功の裏には、支えてくださった多くの方々がいます。そんな心強い支援者の皆様へのインタビューを掲載していきます。
最初に取り上げるのは、2022年から3年間、街なか学園祭の空間デザインに関わってきた近畿大学 小池ゼミ。同ゼミを指導する産業理工学部 建築・デザイン学科 教授 小池 博さんにお話を伺いました。
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「近畿大学 小池ゼミが街なか学園祭に関わるようになったのは、2017年頃に開始した飯塚市内の街づくり活動が、大元のきっかけだったように思います。
商店街活性化や遠賀川河川敷の社会実験など、私たちの取り組みが市内で広く知られるようになっていき、飯塚高校出身の本学部OBから声をかけられたことが縁となり、2022年から学園祭の空間デザインに携わることになったのです。
それから3年、高校生と大学生という年齢の近い若者同士がコラボレーションすることで生まれるシナジーをとても興味深く感じています。大学生は社会課題を意識しながら、より実践的な視点で高校生と関わります。高校生にとっては、少し年上のお兄さん・お姉さんのような存在から学ぶ機会が良い刺激となっているようです。
学園祭準備はワークショップ形式で、高校生と大学生がアイデアを出し合いながら進め、私たち教員はほとんど口を挟むことなく、自由に進めてもらいました。2024年には前年に課題となっていた、ステージ周辺の長蛇の列が生む混雑を解消して人の流れをスムーズにするため、竹筒を使って空間を緩やかに仕切る実験的な試みを行いました。
結果的には、お祭りの賑わいの中では十分な効果が得られませんでしたが、この失敗も貴重な学びとなり、実験を通じてデザインによる問題解決のプロセスを経験できたことに意義があります。こうした試行錯誤を重ねながら高校生と大学生が協力し、新たなデザインソリューションを考え、地域活性化の知見を蓄積していくことに価値があると感じています。
飯塚市は人口13万人のうち4,000人以上が大学生という、学園都市ともいえる環境です。しかし、地元の商店街に学生が足を運ぶことは少なく、地域との接点が不足しているのが課題です。
飯塚高校と近畿大学が学園祭を通じて連携し、地域と若者をつなぐ新たな取り組みを広げる中で、この地域に『実験都市・飯塚』という新たなブランドを築いていけるのではないかといった希望を抱いています」