【卒業生インタビュー】九州大学 共創学部 2年生 大島奏穂さん(特進I類、2024年3月卒業)

大島奏穂さん

九州大学 共創学部に現役合格を果たし、現在2年生の大島奏穂さん(特進I類、2024年3月卒業)。飯塚高校を卒業し、九州大学(以下、九大)伊都キャンパスで大学生活を送るようになって1年、「やりたいことを全部やっています」と笑顔で語ります。

高校時代は吹奏楽部の活動に全力を注ぎ、3年次には部長も務めた大島さん。地域での演奏会や韓国遠征など、LocalとGlobalとの行き来をリーダーとして先導する多忙な日々を送っていました。当時よりも自由な時間を持てるようになった大学では、やりたいことを全部やってみる、積極的なマインドで過ごしているといいます。

そんな大島さんはあらゆるコミュニティや団体、組織で多様な活動を行い、それらを自身の糧にしながら、将来の選択肢を広げている真っ最中。「1年前と比べると、行動力の面で大きく変わりました」と語る大島さんに、近況についてたっぷりと、そして飯塚高校で得たことについてお話を伺いました。

挑戦の基盤となる共創学部での学び

——大島さんには2024年度の合格者インタビューにもご登場いただきましたね(取材は2024年1月に実施)。まず、2018年に設置された新しい学部である共創学部では、どんな学びができるのかお聞かせください。

共創学部は、学生一人ひとりが自ら課題を設定し、その解決に向けてアプローチ方法を考え、文系・理系の枠を超えてさまざまな分野の知識を融合させて学んでいく学部です。また、多様なバックグラウンドを持つ人々と協働し、課題の解決を目指します。

人文・社会分野、自然科学分野、学際分野を網羅的に学びながら、現代社会で起きているさまざまな要因が複雑に絡み合った社会課題の解決に向けて、複数の専門分野を横断しながら共創的課題解決力をつけていきます。

——大島さんはどんな課題意識を持っているのでしょうか?

地域コミュニティ内のつながりが希薄になりつつあることに課題意識を感じてきました。将来、実現したいなと考えているのは、音楽の力を使って地域コミュニティを活性化させることです。飯塚高校時代を中心に、これまで長く行ってきた地域での活動や音楽(吹奏楽)の経験を軸に、方法を模索しているところです。

——その目標を現実にするために、どんな学びを深めていますか?

実現に向けて必要な要素はいくつもあり、英語力もそのひとつになります。地域の中には海外出身者もいて、彼らを取り残さないためにも、英語でコミュニケーションできる十分な力を身につけたいと思っています。

すべて英語で行われるディスカッションや課題解決型共同学習を通じて、異なる背景や考え方を持つ仲間たちと話し合う授業は面白いと感じています。そこでは、情報を鵜呑みにせず取捨選択する批判的思考力を養うことも重視されています。将来的に必要な力を身に付けている実感があります。

動けば動くほど、世界が広がっていく

——実践的な内容なのだろうなと想像しました。続いて「やりたいことを全部やっている」の「全部」を詳しく伺いたいです。まずは学内の活動からお願いします。

学内では大きく4つの組織・団体に所属して活動をしています。

九大フィルでの活動の様子
九大フィルでの活動の様子

ひとつ目は九大フィルハーモニー・オーケストラ(九大フィル)での活動です。九大フィルに入った理由は、幼い頃から続けてきた音楽活動を大学でも継続し、さらに自分自身を成長させたいと考えたからです。

九大フィルは今年で創立116年と長い歴史があり、有名な指揮者やソリストと共演し、大きなホールで演奏できる機会もあります。私は教養部長として、新歓活動などを総括する役割を担っています。

ふたつ目は学生団体「ミチマチプロジェクト」での活動です。「まちを歩くことを通して、伊都をすきになる」をコンセプトに、散歩イベントなどを企画する団体で、地域フィールドワークの一環として、九大のある糸島(福岡市西区・伊都エリア)を舞台に取り組んでいます。

九大の最寄駅である九大学研都市駅とキャンパスは、徒歩で1時間ほど離れています。多くの学生は駅から大学へ向かう一本道しか通らず、伊都の町を通学ルートとしてしか捉えていない現状があります。

これほど豊かな場所なのにもったいない。そんな問題意識を抱いていました。「4年あるいはそれ以上歩くエリアをもっと好きになってもらいたい」という思いから、伊都の魅力を知ってもらう活動を行っています。

九大唯一の公認ミュージカル劇団「Italento」での活動の様子
九大唯一の公認ミュージカル劇団「Italento」での活動の様子

3つ目は九大唯一の公認ミュージカル劇団「Italento」での演者・照明担当としての活動です。Italentoでは、世界で起きている社会課題をテーマに自分たちで脚本を書き、ミュージカルという形で発信する活動をしています。小中学生の頃に劇団に所属していた経験を生かして、社会問題の啓発活動に貢献できたらいいなという思いがあります。

4つ目はフリースタイルフットボールサークルでの活動です。中学生の頃から趣味で続けてきたのですが、大学ではより積極的に取り組みたいと思い、加入しています。これらの多様な活動を通してさまざまな出会いがあって、自分の世界がさらに広がって、豊かになっていると感じています。

——学内だけでも実に多様な活動をされていて、日々の充実度が伺えます! アルバイトや趣味など学外の活動は何をしていますか?

まず、アルバイトは3つ掛け持ちしています。ひとつは総合型選抜対策専門塾での講師です。この塾では、生徒との1対1の対話や議論を通じて、新たな視点やアイデアに出会えるよう導きながら、受験合格をサポートしています。

ふたつ目は九州電力さんなど様々な企業と共創学部の先輩が協力して立ち上げたコワーキングスペース兼モビリティハブでの受付の仕事です。

3つ目はAI関連のスタートアップ企業での仕事です。創業や経営、AIを活用した都市開発を最前線で学んだり、人とのつながりを広げたりしながら、自分が将来何かを立ち上げるときに必要な知識や経験を蓄積しているところです。

趣味としては、K-POPダンスのレッスンを外部で受けています。ダンス経由でも人とのつながりが自然に広がっています。こんなふうに、「やりたい」と思ったことをすべて行動に落とし込んでみたら、気づいたら世界が広がっていたという感覚です。

高校時代に受け取った教えが今生きている

——さまざまな経験や出会いから、将来の可能性や選択肢をますます広げていますね。最後に、飯塚高校時代のお話を聞かせてください。特進I類×吹奏楽部という文武両道を体現してきましたが、特に部長も務めた吹奏楽部での日々は、高校生活の中でも比重が大きかったと想像します。今振り返って、吹奏楽部に所属してよかったと思うことを教えてください。

当時はほぼ休みなく、毎日長時間にわたって練習していました。でも、それが苦ではなく、心から楽しく取り組んでいました。自分にとってやりたいことだったからこそ、幸せな時間でした。みんなで一緒に音楽をつくりあげる楽しさを学べたのは大きな財産です。

顧問の畑中先生からは、音楽や技術面のことだけでなく、生きている限り大切にしたい教えもたくさん受け取りました。あの3年間は私にとって本当に貴重な時間だったと感じています。

いただいた言葉のうち、今も常に意識しているものをいくつか挙げてみます。ひとつ目は以前のインタビューでご紹介した「正解ではなく、納得解を見つけろ」です。詳しくは当時の記事を読んでいただきたいです。

ふたつ目は「しなければいけない(have to)ではなく、したい(want to)と思える活動をしなさい」です。もちろん仕事や勉強の都合上、やらなければいけないこともありますが、ベースは自分が本当にやりたいと思うことに向かう行動をするということ。この考え方は、今の自分の姿勢につながっていると思います。

3つ目は「何かを放棄するとは、誰かが大変になること」という教えです。一見あたりまえのように思えることですが、実は非常に重要だと感じています。自分がしんどいからといって、与えられた役割や仕事を投げ出してしまうと、その分誰かが苦労することになる。この言葉は、今、部活やサークルなどでリーダー的な役割を担う場面でも強く意識していて、責任感を持って行動する上での大切な指針になっています。

他にも数え切れないくらい、たくさんの教えをいただき、都度書き留めてきました。メモを見返さなくても、頭と心に刻まれている言葉がたくさんあります。高校時代には理解しきれなかったことも、大学生になって吹奏楽から少し離れ、別の活動もしていく中で、「ああ、こういうことだったんだ」と気づくことがあります。そうやってあとから意味が分かるたびに、指導者と環境に恵まれていたんだなと感謝の念を抱いています。

——形のないギフトを先生方から多く受け取り、今でも生かしているという素晴らしいお話を聞けて感動しました。最後に、飯塚高校に興味のある中学生や保護者の方に向けて、メッセージをお願いします。

先生たちが一人ひとりと本気で向き合ってくれるのが、飯塚高校の魅力のひとつだと思います。授業時間外でも質問に行くとマンツーマンで教えてくれたり、資格取得のサポートをしてくれたり、とても親身になってもらったことを覚えています。

また、生徒のやりたいことを後押ししてくれる環境もあります。自分から学びたいと思えばどこまでも応援してくれるし、やりたいことがあれば、それを実現できるようにサポートするのが私たちの仕事だからと言って動いてくれる先生たちがいました。何かに挑戦したいと思ったとき、それを本気で支えてくれる大人たちがいるというのは、飯塚高校の素敵な特徴です。

3年間でそこにしかない出会いや貴重な経験を積むことができる場所です。ぜひ飯塚高校に入って、自分のやりたいことに全力で挑戦してほしいと思っています!

——素敵なお話をありがとうございました!

今後も合格者インタビューを不定期で掲載していきますので、どうぞお楽しみに。

※記事内容は取材当時(2025年5月4日)のものです。
※大学生活・留学生活に関する写真は大島さんよりご提供いただきました。

大島さんが所属していた特進コースは、令和5年度新入生から一新され、「特進アカデミックコース」「特進グローバルコース」「特進探究実践コース」の3コースが新設されています。

2年次以降、希望者は特進コース内でコース移動ができ、より自分に合った学びを深めていける点が特徴です。

いずれのコースも、生徒一人ひとりの主体的・探究的な学び、グローバルな人材育成を重視しています。さらに、各生徒がいきいきとした学校生活を送りながら、目標とする大学へ進学することも目指しています。

「特進コース」について詳しくはこちらをご参照ください。