「“私たちらしいケーキで勝ちたい” 想いを形にしたスイーツ甲子園優勝」(製菓コース 3年生 製菓部 野上こころ)

飯塚高校製菓部は、2024年秋に開催された「第17回スイーツ甲子園 高校生パティシエNo.1決定戦 Supported by 貝印」で優勝。4年連続10回目の全国大会決勝出場という実績を重ね、2009年・2022年に続く、3度目の日本一に輝きました。
この快挙を成し遂げたのは、当時2年生のメンバーで結成されたチーム「arc-en-ciel(アルカンシエル)」です。リーダーを務めた野上こころさんは、「ここまで来られたのは、支えてくださった周囲の方々のおかげ。感謝の気持ちを込めて、恩返しができるようなケーキをつくりたいと思って決勝に挑みました」と語ります。
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私が飯塚高校製菓コースへの進学を決めたきっかけは、中学生の頃に先輩たちがスイーツ甲子園で全国の舞台に立っている姿を見たことです。「自分もいつか、あの場で挑戦したい」と思い、飯塚高校が憧れの学校になっていました。
もともとお菓子づくりは日常にあって、母と一緒に楽しんでいました。母がよくパンやお菓子を焼いてくれて、私も自然と手伝うようになり、次第に夢中になっていったんです。
「完璧な準備」が導いた、スイーツ甲子園優勝

入学後は製菓部に所属し、スイーツ甲子園に挑戦するチーム「arc-en-ciel」の一員として活動しています。リーダーとしてメンバーをまとめながらも、常に「3人でワンチーム」であることを意識して、互いの意見を尊重し合い、得意分野を生かしながら協力してきました。私自身は作業の丁寧さとスピードを大切にしています。
スイーツ甲子園での優勝は偶然ではありません。日々の練習に加え、ゴールから逆算して行動計画を立て、何度も試作を重ねてきました。「もしケーキが固まらなかったら」「もしケーキを落としてしまったら」といった不測の事態も想定し、考えられ得るあらゆるリスクに対応できるよう準備をして臨んだ結果が、全国1位という形で実を結んだのだと思います。
印象に残っているのは、全国大会で強豪校の生徒たちと交流できたことです。ある高校の礼儀正しさや挨拶の徹底ぶりには感銘を受けました。自分自身もその姿勢を見習い、日頃のふるまいにも気を配るようになりました。また、タヒチ研修旅行に参加させていただき、現地で製菓の知見を増やしたことも、大切な思い出になっています。
これらの経験を通して、技術面はもちろんですが、それ以上に人として成長できたと感じています。大会に向けた取り組みを通して、チームをまとめる力や聴く力、取材などで自分の言葉で話す力など、これまでになかったスキルを身につけることができました。
現場の環境に近い、多様な実習機会が魅力

製菓部では、スイーツ甲子園だけでなく、飯塚市・本町商店街近くにある製菓コースの常設ショップ「プチフル」で販売する焼き菓子をつくったり、クリスマス時期にはケーキをつくったりと、時期に応じて多様な実習をしています。こうした経験を通して、現場に近いかたちで製菓技術を学べるのが、飯塚高校製菓コース・製菓部の大きな魅力です。
今年もスイーツ甲子園への出場を予定しています。目標は二度目の全国優勝ですが、それ以上に「自分たちが本当にいいと思えるケーキをつくること」を大切にしています。先生方のアドバイスを参考にしつつ、自分たちの想いを込めたケーキを完成させたいです。
飯塚高校製菓コースでは、国家資格である製菓衛生師の取得が可能で、製菓コース・製菓部では全国規模の大会に挑戦する環境があります。本気で夢を追いかけたい高校生にとって、大きな挑戦の舞台になる場所だと思います。
※記事内容は取材当時(2025年6月)のものです。