「英語力を上げて世界の人と話したい」。生徒アジア派遣で生まれた向上心と自信【留学経験インタビュー】

生徒アジア派遣研修事業」で、タイ(バンコク)に派遣された1年1組(学術探究プロジェクト)の遠藤葵さん

飯塚高校では生徒たちに、交換留学プログラムをはじめ、グローバルでのさまざまな活動機会を用意しています。今回は2025年度の「生徒アジア派遣研修事業(※)」で、タイ(バンコク)に派遣された1年1組(学術探究プロジェクト(特進アカデミックコース))の遠藤葵さんに、初めて訪れたタイでの思い出や日本でホストファミリーを務めた経験を振り返ってもらいました。

※福岡県私学教育振興会が実施する、福岡県内の私立高校に在籍する生徒を対象として、国際理解教育の一環として海外(アジア)でのフィールドスタディを行うプログラム。実施団体である福岡県私学協会に対して、事業に要する経費の一部助成を行う助成事業

英語学習への向き合い方が変わった

――まずはタイでの経験から伺わせてください。ホームステイと学校生活、それぞれで印象に残ったことを教えてください。

ホームステイ先では、生活習慣がまったく違って驚きました。たとえば、朝にシャワーを浴びる、朝ごはんをあまり食べない、といったところです。夕食は家で食べる日もあれば、バディと食べに行くこともありました。

学校では、みんなの英語のレベルが高いと感じました。英語を流暢に話す現地の同学年の生徒も多く、びっくりしたのを覚えています。

――英語でのコミュニケーションを振り返ってみて、どんな感想を持ちますか?

私は英語が得意ではないので、単語をつなげて話すので精一杯で、バディに負担をかけてしまったかなと思う場面もありました。文法をもっと理解して、実践的に使えるようになっていたら、気持ちをしっかり伝えられたのになと、悔しく感じた瞬間も。

それでもジェスチャーを使ったり、知っている単語を組み合わせたりしながらなんとか乗り切りました。担任の先生が教えてくれた「すぐ使える英語フレーズ集」もとても役に立ちました。何度も見返して使うことができ、心の支えにもなりました。

生徒アジア派遣研修事業」で、タイ(バンコク)に派遣された1年1組(学術探究プロジェクト)の遠藤葵さん

――そういった経験を通して、自分の中で変わったことはありますか?

「語彙を増やして、文法もマスターしたい!」という思いが強くなり、英語学習への向き合い方が変わったと感じています。

英語に苦手意識があったこともあり、「どうして英語を勉強するんだろう」と思っていたのが、「英語を使えたら世界中の人と話せる」という前向きな気持ちに切り替わっていきました。おかげで、英語の授業にもより積極的に取り組めるようになりました。

タイを歩いて、見て、感じたいろいろな違い

――素敵な変化ですね。タイといえば食事のおいしさもよく知られています。印象的な食体験を教えてください。

辛い料理も独特な味わいのフルーツジュースも、普段私が食べたり飲んだりしないタイプのもので、とても新鮮に感じました。食感が変わったフルーツにも挑戦し、「初めての味!」という感想を持ちました。「ガイサテ」というカレー風味の焼鳥が美味しくて、また食べたいと思ったほどです。

――「現地文化についての研修」もありました。現地の歴史文化施設の見学では、どんなところへ行きましたか?

歴史見学では、古都アユタヤで見た歴史的な遺跡が特に印象に残っています。レンガや漆喰を使った美しい建物を見て、文化や気候の違いが建物にも表れるんだと感じました。

道中には屋台のようなお店も並んでいて、手作り感のあるものを売っていて、日本の歴史的建造物の周辺とはまた違う雰囲気があってとても面白かったです。「本当に違う国に来たんだな」と強く感じられる場所でした。

バンコクの街中での様子

――研修中はバンコクの街も歩きましたか?

はい。都会の雰囲気も味わうことができました。心に残っているのは、ガイドさんの「昔は日本の広告が多かった」という話です。今は中国系の広告が増えているそうで、「国際社会では、国それぞれの立ち位置や見え方が時代ごとに変わっていくんだな」と視野が広がる思いでした。

タイ語と英語で進む授業も体験

――学校の外でもさまざまな気づきがありましたね。続いては、現地の学校での授業体験(2日間)について聞かせてください。どんな授業に参加しましたか?

数学と英語でした。現地で私は2年生のクラスに入っていたこともあって、内容はけっこう進んでいました。数学はプリントを使った授業で、先生が教壇で説明し、生徒が問題を解くという流れは日本とあまり変わらないようでした。

――ICT機器などは使われていましたか? 飯塚高校をはじめ、日本ではiPadなどを使う学校も多いですよね。

iPadは使っていませんでした。ただ、黒板の半分くらいが大きなモニターになっていて、そこに教材を映しながら授業をしていました。紙のプリントとモニターを併用する形で、こちらも日本と大きく変わらない印象でした。

――授業で使われる言語は全部英語ですか?

基本はタイ語です。英語の授業だけは英語で行われますが、ほかの教科ではタイ語が中心です。先生がときどき英語でも説明してくれたので、それを聞きながら理解していく、という形で頑張りました。

英語の補助を頼りにしながら、タイ語での授業に参加するのはなかなか高度で、いい経験になったと思います。

「挑戦は怖くない」と踏み出せる自分になれた

―― 帰国後の研修では、日本の家庭での生活体験(※ホームステイ4泊、教育宿泊施設3泊 計7泊)がありました。タイの生徒をホームステイ先として受け入れるなかで心がけたことを教えてください。

家族も一緒に過ごすため、難しい話題は避けて、話しやすいテーマで会話をするよう意識しました。また、UNOやジェンガなど、言葉がなくても遊べるゲームで盛り上がり、楽しい雰囲気をつくるようにしました。

また、受け入れ研修では「タイの生徒に福岡の魅力を知ってもらう」という目的もありました。それを実現するため、休日にはアジア派遣の仲間たちと一緒に福岡市へ遊びに行きました。博多ラーメンを食べたり、プリクラを撮ったりしたのが思い出です。

学校でも一緒に授業を受けました。前園先生の英語コミュニケーションの授業で、ハロウィンのアクティビティや折り紙をしたところ、バディはとても楽しんでいました。

受け入れ研修で福岡市へ遊びに行ったときの様子

――現地で学び、日本で受け入れる。両方経験したあと、自分の中にどんな変化がありましたか?

アジア派遣は、私にとって本当に大きな挑戦でした。英語を使って生活し、異文化の中で過ごす経験には不安もありましたが、それを乗り越えたことで「挑戦すればできる」という実感が生まれました。

大きな挑戦をやり遂げたことで、日常の中の小さな挑戦にも前向きに取り組めるようになったと思います。以前ならためらっていたことでも、「あれだけの経験をやり切ったのだから、これくらいならできる」と自然に思えるようになりました。

自分の中で「挑戦することは怖くない」という感覚が育ってきています。アジア派遣を通して、自信と行動する力が確実についたと感じています。

――最後に、アジア派遣に興味のある方へメッセージをお願いします。

英語が得意でも苦手でも、挑戦してみたらいいと思います。高校生だからこそできる経験は限られていますし、アジア派遣もそのひとつです。将来、どこかでその挑戦が生きる瞬間が必ず来ると思います。「あのとき頑張ってよかった」と、自分を褒められるはずです。少しでも興味があるなら、一歩踏み出してみてください。

――お話をありがとうございました!

※記事内容は取材当時(2025年12月)のものです。
※写真は遠藤さんよりご提供いただきました。

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飯塚高校のグローバル教育について

本校はグローバル教育に力を入れています。

ニュージーランド(ワイヌイオマタ高校、ランギオラハイスクール)のほか、韓国(釜山観光高校)、タイ(IBS)、中国(第十六中学校)、カナダ(ヴィクトリア高校)などに協定校を持ち、短期交換留学などの交流機会を持っています。

そのほか、ドイツやアメリカ、ベトナムなどの多様な国々からも留学生を受け入れ、グローバル教育に関する幅広い機会を提供しています。

授業を含む日常はもちろん、体育祭や学園祭の海外協定校関連の演目などでも、国際交流を積極的に行い、GLI(※)全体の取り組みを通して、次世代を担う人材育成に努めています。

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