第2回ユネスコスクール集会を開催|多様な生を尊重し、平和な未来を考える

第2回ユネスコスクール集会

飯塚高校は1月19日(月)、飯塚市総合体育館にて「第2回ユネスコスクール集会」を開催しました。

本集会は、生徒一人ひとりが多様な「生」を尊重する視点を育み、困難や逆境に直面した際にも前向きに向き合うレジリエンスを身につけるとともに、芸術の力による心の豊かさや国際理解を深め、平和でインクルーシブな持続可能社会の担い手としての資質を養うことを目的として実施されました。

その学びを理解するだけでなく、自身の生き方や行動にどうつなげていくかを考えるため、特別講師としてアーティストの米良美一さんをお招きしました。難病と向き合いながら表現者として歩んできた生き方や、震災復興支援に携わってきた経験についてお話しいただきました。

当日は、第一部:生徒によるSDGsの取組発表、第二部:特別講演、第三部:特別演奏会の三部構成で行われました。

世界共通の価値観を学び、地域と世界を行き来できる人へ

第一部の冒頭では、本校常務理事/校長補佐の嶋田吉朗より、ユネスコスクールの理念と、飯塚高校がその一員として認定されている意味について説明がありました。

校常務理事/校長補佐の嶋田吉朗からの説明(ユネスコスクールの理念と、飯塚高校がその一員として認定されている意味について)

飯塚高校は2023年1月、福岡県の私立学校として初めてユネスコスクールに登録されています(※)。ユネスコスクールは、国連の専門機関であるユネスコに対し、自校の教育活動を報告し、その内容が理念に沿っていると認められた学校のみが登録されます。SDGsを軸とした継続的な教育実践が評価され、登録に至りました。

※2020年にはグローバル教育や地域連携活動を評価され支援大学(福岡教育大学)による審査に合格してキャンディデート校に。2023年1月には福岡県の私立校として初めて、正式にユネスコ認定校に。

一方で、嶋田は「SDGsはユネスコスクールの一部にすぎません。大切なのは、国連やユネスコが広めようとしている価値観を実践しているかどうかです」と、ユネスコスクールはSDGsだけを行う学校ではないことも伝えました。

その根底にあるのが、ユネスコ憲章前文に記された「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という考え方です。第二次世界大戦後、戦争を繰り返さないために、教育や文化を通じて平和を築く目的でユネスコは設立されました。

ユネスコスクールでは、SDGsの目標4(教育)に関連して、地球市民および平和と非暴力の文化、持続可能な開発および持続可能なライフスタイル、異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重という3つの柱に取り組むことを重視しています。これらは、私たち一人ひとりが争いのない世界を目指していくために不可欠な学びであり、日々の授業や地域活動の中で実践されるものです。

嶋田は最後に「地域に仲間を広げていくことも大切ですが、同時に、世界の価値観を自分たちの中に取り入れていくことも大事です。このふたつを両立できれば、どこに行っても通用する人になれると思います」と生徒たちに呼びかけ、これから続く生徒発表や特別講演が、その具体例であることを示しました。

生徒によるSDGsの取組発表(第一部)

続いて、放課後英語プログラム「グローバルプログラム・インテンシブ」(以下、グローバル部)、ダンス部、まちLaboの生徒たちが登壇し、日頃取り組んできたSDGsや地域連携活動について発表しました。学校内の学びにとどまらず、地域や社会、世界と関わる中で得た気づきや課題意識が込められた内容でした。

グローバル部の登壇

グローバル部は2024年11月頃から、飯塚高校・飯塚市シルバー人材センター「とまり木」・メゾンカイザー天神店が連携して取り組んできた「永楽あんぱんプロジェクト」について発表しました。

本プロジェクトは、飯塚の歴史や文化資源に着目し、それらを現代にどのように生かし、次の世代へと継承していくかをテーマに進められてきたものです。

生徒たちは産官学民が連携する形で、商品コンセプトの検討から試作、検証を重ね、商店街での店頭テスト販売や、大阪・関西万博会場外での試食・アンケート調査などにも取り組んできました。その中で、「飯塚高校を応援したくなった」「飯塚市に行ってみたい」といった声が寄せられ、自分たちの活動が地域の魅力発信につながっていることを実感したといいます。

今後はこのプロジェクトをさらに発展させ、将来的には駅やオンラインで販売できる商品へと成長させることで、飯塚市の活性化につなげていきたいと展望が語られました。

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ダンス部の演技発表

続いてダンス部は、身体表現を通じて思いを伝える演技発表を行いました。冒頭では、「本日は世界大会で優勝させてもらった作品を踊らせていただきます。このような場で演技できることに感謝し、気持ちを込めて踊ります」との挨拶があり、会場は期待感に包まれました。

披露されたのは、ダンス部 SKY DAISY’S(飯盛・中村ペア) が、2025年12月13日(土)に群馬県高崎市で開催された世界選手権大会で金メダルを獲得した演技です。同大会では、ジュニア・シニア合わせて約27チームの強豪が出場する中、104.5点という最高得点を記録し、日本人チームとして6年ぶりの優勝という快挙を成し遂げました。

言葉に頼らず、動きや構成によって感情やメッセージを伝える演技は、国や文化の違いを越えて心を揺さぶるものであり、世界の舞台で評価された理由を感じさせる内容でした。演技を通して、文化の多様性や表現の力を体現する発表となりました。

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まちLaboの登壇

まちLaboからは、土曜マルシェをはじめとした地域イベントへの参画や、企業・大学・アーティストなど多様な立場の方々と協働してきたアーティストレジデンスなど、地域と関わりながら学びを深めてきた幅広い活動内容が紹介されました。

SDGsに関わる取り組みとしては、九州各地の高校生が集まる「第6回 SB Student Ambassador 九州ブロック大会」への参加を通じて、後継者不足といった社会課題に向き合い、他校の生徒と意見交換を行いながら、多様な視点から課題を捉える経験を重ねてきたことが報告されました。

また、屋久島ウミガメ展の見学では、現地で活動するNPO法人の方から直接話を聞くことで、環境問題の現状や保全活動の意義を学びました。こうした学びを踏まえ、冬季研修会では海浜清掃に取り組み、学んだことを行動へとつなげてきたことも伝えられました。

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生徒一人ひとりが主体的に考え、行動し、学びを次の挑戦へとつなげていく姿は、ユネスコスクールの理念が実践として根付いていることを感じさせるものでした。

特別講演「波乱万丈の人生から、未来に向けて」(第二部)

第二部では、映画『もののけ姫』主題歌などの歌唱で知られるアーティスト、米良美一さんを特別講師として迎え、講演が行われました。

アーティスト、米良美一さん

講演では、生まれつき指定難病を抱え、幼少期から度重なる骨折や長期の療養生活を経験してきたご自身の半生が語られました。思うように身体を動かせない状況の中でも、生きることを諦めず、表現者として歩み続けてきた姿は、生徒たちに強い印象を残しました。

米良さんは、音楽について「身体の自由が制限される中で、心を解き放ってくれた存在」であり、人生を支える大きな力だったと振り返りました。また、「命は自分ひとりのものではなく、多くの人に支えられているものだ」と語り、先祖から受け継がれてきた命の尊さに触れながら、どんなに苦しい状況にあっても生き続けることの大切さを力強く訴えました。

後半では、フランスの哲学者 エミール=オーギュスト・シャルティエ(通称アラン) の『幸福論』を紹介しながら、幸福は待つものではなく、自らの意志や行動によってつくっていくものだという考え方が示されました。その実践として、「まず笑顔を意識すること」の大切さが語られ、日常生活や将来の面接といった具体的な場面に結びつけた話は、生徒たちにとって身近で現実的な学びとなりました。

特別演奏会|音楽で思いをつなぐ時間(第三部)

第三部では、本校吹奏楽部と米良美一さんによる特別演奏会が行われました。前日の1月18日(日)には飯塚市文化会館 イイヅカコスモスコモン 大ホールで開催された「飯塚観光応援コンサート -白川かりんもののけ歌姫伝説2026-」にて共演し、地域を音楽で応援するという思いを共有したうえでのステージとなりました。

演奏会は、吹奏楽部による『もののけ姫』劇場音楽メドレーから始まりました。木霊や森の神々、登場人物たちの情景や生命力など、映画の世界観を音楽として体感できる演奏に、会場は一気に引き込まれました。

続いて、米良さんによるソロ曲『手紙』が披露されました。この曲は、この世に愛する人を残して旅立つ人から、大切な人へ贈る最後のラブレターをテーマにした楽曲で、悲しみの中でも相手の幸せを願う優しいメッセージが、会場に温かく広がりました。

吹奏楽部と米良美一さんによる特別演奏会

その後、吹奏楽部との共演による『もののけ姫』メインテーマが披露されました。互いの音を感じ合いながらつくりあげる、温度のある演奏となりました。

フィナーレでは『花は咲く』が披露されました。「皆さん一人ひとりの人生に、美しい愛の花が咲くように」という祈りを込めた米良さん。その歌声と演奏に会場からは大きな拍手が送られました。

演奏の合間には、年齢を重ねても輝き続けることの大切さや、チャンスは意外と身近にあるからこそ、日々自分を高め続けることが重要だというメッセージも語られ、音楽と生き方が重なり合う時間となりました。

学びを力に、主体的に生きる未来へ

最後には、生徒会長(2年1組・田中蓮)から謝辞が述べられました。

生徒会長から米良美一さんへの謝辞

「笑顔を大切にすることで、自分だけでなく周囲の人も幸せにできることを実感しました。また、米良さんの歌声が世界中の人々の心に届く理由を肌で感じることができました。今回学んだことを、これからの生活や進路、そして人との関わりの中で生かしながら、どんなときも自分自身を信じ続けることを忘れずにいたいと思います」

本校は今後も、ユネスコスクールとしての学びを大切にしながら、生徒一人ひとりが地域、社会、世界とつながり、自分自身の人生を主体的に歩む力を育んでいきます。