松元悠晴さんが「ライフイズテック賞」受賞|学園祭の会計を変えたPOSシステムを開発

松元悠晴さん

2026年3月15日、九州大学 伊都キャンパスにて開催された「中高生探究フォーラム」において、本校特進アカデミックコース新3年の松元悠晴さんが研究発表を行い、「ライフイズテック賞」を受賞しました。

本フォーラムは、探究活動の発表機会が環境によって左右される「機会格差」の解消を目的に、中高生自らが発表の場を創出し、日頃の探究成果を広く発信できる機会を提供する取り組みです。多様な参加者との交流を通じて、多角的なフィードバックを得ることで、探究のさらなる深化を促すことも目指しています。

「ライフイズテック賞」受賞の背景

今回の受賞は、「課題設定から解決、そして実際の変化までをテクノロジーで実現しているか」という観点で評価されたものです。

審査員の讃井康智氏(ライフイズテック株式会社 取締役 最高AI教育責任者(CEAIO))は次のように講評しています。

「課題を自ら設定して、テクノロジーを使って課題解決のアクション、そして実際の変化まで作りきっているかという点で評価しました」

松元さんの取り組みは、システム開発にとどまらず、学園祭という現場で運用され、大量の会計処理を支える仕組みとして機能した点が高く評価されました。

「これまでアナログで行っていた処理がすべて自動化され、データが蓄積され、そのデータをもとに売上傾向や出店の工夫につながる気づきが得られる。大手企業が開発したかのような完成度の高い取り組みでした」

さらに、その成果は技術面に限らず、高校生の探究活動の可能性を広げる取り組みとしても評価されています。

「高校生でもここまでできるのかという『新しい当たり前』が、この場で広がった。非常に大きな影響力のある取り組みだったと思います」

課題発見から実装、そして現場での運用・改善までを一貫してやり切った点、そして周囲に与えた影響力の大きさが、今回の受賞につながりました。

学園祭から生まれた実践的な研究テーマ

松元悠晴さん

松元さんが発表した研究テーマは、「学園祭におけるPOSシステムの開発と運用」です。

飯塚市商店街を会場として実施される本校の「街なか学園祭」は、2022年に初めて開催されました。その後、地域と連携しながら回を重ねるごとに内容や規模が充実し、2025年11月の開催で4回目を迎えました。

一方で、これまでの運営では手作業による会計が中心であったため、レジの混雑や集計ミス、終了後の精算作業の負担といった課題がありました。

松元さんは、これらの非効率を改善することで、学園祭の運営や来場者体験をさらに向上させられるのではないかと考え、その実現に向けてNext.js・React・Supabaseを用いた独自のPOSシステムを開発しました。

本システムは、専用機器を必要とせず、生徒自身のiPadやPCなどからブラウザ上で利用できるよう設計され、現場での使いやすさと汎用性を両立しています。2024年度に自身のクラスで試験導入を行い改善を重ね、2025年度の学園祭では12クラスへと展開されました。

その結果、総取引数2,366件、総売上約126万円をトラブルなく処理し、会計業務のデジタル化と効率化を実現しました。

さらに、蓄積されたデータをもとに販売戦略の分析も可能となり、高単価型と回転率重視型といったクラスごとの収益構造の違いが可視化されるなど、新たな学びへとつながっています。

松元悠晴さんコメント

松元悠晴さん

当日は多くの方々に研究発表を聞いていただき、さまざまな質問や意見をいただくことができました。それらを通して、自身の研究をさらに発展させられると感じることができ、貴重な体験となりました。

今回の研究は、「学園祭におけるPOSシステムの開発と運用」をテーマに、約1年半前から取り組んできたものです。昨年度には自身のクラスで試験導入を行い、クラスメイトからの意見をもとに改善を重ねてきました。今年度の学園祭ではUIを一新し、より完成度の高いシステムとして導入でき、12クラスで運用されました。

本システムの運用にあたり、ご協力いただいた教職員の皆様、生徒の皆さん、そして関係者の方々に心より感謝申し上げます。

来年度は全クラスへの導入を目標とし、集めたデータを活用しながら、生徒自身が販売戦略を考え次につなげていける仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています。

これからも、生徒の意見を積極的に取り入れながら、より実用的で独自性が高く、誰にとっても使いやすく分析しやすいPOSシステムの開発を続けていきます。

実践と探究をつなぐ学び

今回の受賞は、学園祭という「実践の場」から課題を見出し、テクノロジーを用いて解決し、その成果を現場で実証した点が評価されたものです。

本校では、地域や社会と接続した実践的な探究活動を通じて、生徒が自ら問いを立て、試行錯誤しながら学びを深めています。

また、本校は文部科学省「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の指定を受け、2025年度には重点類型「グローバル型」に選出されています。こうした環境のもと、学校現場の課題から出発するDX教育を推進しており、今回の取り組みもその実践の一つといえます。

今後もこうした取り組みを積み重ね、生徒一人ひとりの可能性を広げてまいります。