「超異分野学会2024」準備を振り返って【特進アカデミックコースでの九大連携授業】

「超異分野学会2024」準備の振り返り

特進アカデミックコースでは、8月31日(土)開催の「超異分野学会2024 大阪・関西大会 研究エコシステムの再構築(※)」への参加に向け、準備を進めていました。

※研究者や大企業、町工場、ベンチャーといった分野や業種の違いにとらわれずに、議論を通じて互いの持つ知識や技術を融合させ、人類が向き合うべき新たな研究テーマや課題を捉え、共に研究を推進するための場

しかし、台風の影響で大阪への移動が困難となり、参加を見送ることとなりました。そこで今回は、学会に向けて生徒たちが取り組んできた準備のプロセスを振り返り、どのような経験を積み、何を学び、どのように成長を実感したのか、生徒2人の声をご紹介します。

【関連記事】特進コースで「九大連携授業」第1回目を実施。学会発表準備を進めています

生徒たちからのコメント

「超異分野学会2024」準備の振り返りー生徒からのコメント

「データ整理、読み取り力が鍛えられた」(Mさん)

——超異分野学会に向けてどのような準備をしましたか? 制作したポスターについても内容を教えてください。

「日本とフィンランドの教育の差を生む要因」について、日本で行ったアンケート調査の結果を基に考察・分析しました。ポスターは研究テーマの設定理由、調査結果、そしてそれに基づく考察の三部構成でまとめました。

設定理由としては、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」に沿って、教育の質を向上させる要因を明確化することで、SDGs達成に寄与すると考えました。

調査結果では、最終学歴と都市の発達具合の関連性に焦点を当て、「高校卒業者が高校在学中に居住していた都市の規模」と「大学卒業者が高校在学中に居住していた都市の規模」のふたつのデータを示しました。これにより、大都市や中都市に住む人々が大学院や大学卒業者である割合が高いことが明らかになりました。

考察としては、フィンランドも同様の結果が出た場合、教育の質の差を生む要因は地理的なものではない、それとは異なり住んでいる地域に関わらず大学院・大学卒が多いと地理的なものにあるといえる、と考えられました。

——超異分野学会に向けての準備期間に学んだことや、自分の成長を感じた瞬間について教えてください。

準備期間中にはたくさんのデータに触れたことで、それらを見やすく整理する能力や資料から情報を読み取るスキルを鍛えられたと思います。実際にスライドを作るときに、読み取りやすいグラフを選べるようになった点で成長したように感じています。

——超異分野学会のための準備をするにあたり、武田先生やアシスタントの先生、飯塚高校の先生などからのサポートやアドバイスが役立った場面はありましたか? あれば具体的に教えてください。

最も感謝しているのは、学生だけでは難しいアンケート調査にご協力いただいたことです。質問作成を容易にするためにワークシートを提供していただき、それによって最適な質問を考えることができました。

また、今回の研究テーマでは対比が重要だったため、「結果が同様だった場合」と「異なっていた場合」の両方について考察を書くようアドバイスを受けたことが特に役立ちました。

「超異分野学会2024」準備の振り返りー生徒からのコメント

「チーム全員が納得のいく考察をまとめられた」(Bさん)

——超異分野学会に向けてどのような準備をしましたか? 制作したポスターについても内容を教えてください。

私たちのチームは「機械音楽と人間音楽が人間に与える影響」というテーマで実際に各種状況でテストを行い、アンケートを通じてデータを収集しました。収集したデータから分析と考察を行い、その成果をポスターにまとめました。ポスターには、テーマの設定理由、調査結果、考察の3点を掲載しています。

調査結果によると、音楽の種類によって集中力が異なることが明らかになりました。具体的には、暗記、計算、文章読解の各タスク時に集中力に差が生じることが分かりました。これに基づいて、異なる状況に適した音楽を選択することで学習効果が向上すると考えました。

——超異分野学会に向けての準備期間に学んだことや、自分の成長を感じた瞬間について教えてください。

準備期間中、多くのアンケート結果を比較しながら、分かりやすいまとめ方を学びました。ポスターを制作する際には、多くのデータから比較して最も分かりやすいグラフを選び出し、チーム全員が納得する考察をまとめることができました。

——超異分野学会のための準備をするにあたり、武田先生やアシスタントの先生、飯塚高校の先生などからのサポートやアドバイスが役立った場面はありましたか? あれば具体的に教えてください。

武田先生やアシスタントの方々、他の先生方からは、アンケート結果を比較しやすいように多角的な質問を含めたアンケートを用意していただきました。これにより、有意義な考察ができたと感じています。さらに、先生方との議論を通じて、私たちだけでは思いつかなかった新しい視点に気づかされ、テーマについてより深く考えることができました。

九大連携授業について

同学会への参加が予定されていた背景には、本校が九州大学と連携して行っている授業(以下、九大連携授業)があります。

「Global(グローバル)×Local(地域)×Individual(個性)」で次世代を担う人材育成に取り組む本校では、学術に通ずるアカデミックな素養を養いながら国公立大・難関大学合格を目指す定員10名の「特進アカデミックコース」において九大連携授業 第1回目を2024年6月27日(木)に開催しました。

連携授業を担当しているのは九州大学都市研究センター 准教授で、サステナビリティ領域の専門家である武田 秀太郎 先生です。武田先生は11月1日付で、飯塚高校特進コース アカデミックアドバイザーに就任しています。

武田 秀太郎さん 九州大学都市研究センター 准教授

武田 秀太郎さん
九州大学都市研究センター 准教授
国連職員や青年海外協力隊、陸上自衛隊など、様々な社会貢献活動歴のある新進気鋭のサステナビリティ学者。31歳で最年少(当時)となる京都大学特定准教授を経て現職。核融合工学を研究する傍ら、サステナビリティ学に実証的内容を持たせ、数理的手法により仮説検証を行う学問「計量サステナビリティ学」を提唱・推進。一般社団法人計量サステナビリティ学機構・代表理事 兼 共同機構長。2023年10月には第26期日本学術会議へ最年少で選出された。

本授業には、特進アカデミックコース2年1組に在籍する生徒と特進コースの希望生徒が参加しています。

九大との連携について

九州大学(都市研究センター)と飯塚高校は2023年9月6日より、連携協定を締結しています。九州地域における国際的な水準のSTEM・サステナビリティ教育を推進し、高大連携を強化する目的です。

九大との連携
連携協定締結時の記念写真

各生徒が関心を持って向き合うサステナビリティ関連テーマの研究を武田先生がサポートします。

また、学術研究に関する授業を通して、生徒たちが進学を目指す大学で実践される研究活動への理解や身近な学習への関心を深め、進路への意識を高めることも目的とします。

さらに、希望者においては、個人の探究活動を深めレポート化することで、高校生向け学術研究コンクールへの応募など、学術成果を発表することも目指します。

(具体例)生徒会でフードロス問題に取り組む生徒の1人は、問題が起きる仕組みや解決に向けた方法について考える論文執筆を検討しています。

授業内容

授業は下記内容を扱いながら、年度末まで1〜2ヶ月に一度の実施を予定しています。

(1) 学術研究と大学の役割
(2)「探究」と「研究」の関係
(3) 新しい「知」の生み出し方
(4) 社会が求める研究とは?­­––サステナビリティについて
(5) 個人の学術探究指導/ワークショップ

※今後内容が変更となる可能性があります
※「特進アカデミックコース」での開催ですが、若干名、特進他クラスの希望者を募る可能性があります

特進アカデミックコースとは

令和5年度新入生から飯塚高校の特進コースは大きく変わり、「特進アカデミックコース」「特進グローバルコース」「特進探究実践コース」の3コースが新設されました。

いずれのコースも、生徒一人ひとりの主体的・探究的な学び、グローバルな人材育成を重視しています。さらに、各生徒がいきいきとした学校生活を送りながら、目標とする大学へ進学することも目指しています。

今回、九大連携授業の対象となった特進アカデミックコースは、大学レベルの学術への接続を意識した高度な知性の養成を特に重視し、国公立大・難関大学合格を目指すコースです。

定員10名で構成され、少人数で高いレベルを目指して切磋琢磨できる点が特徴です。様々な学校活動に取り組みながら、手厚い難関大入試対策はもちろん、連携する各大学との交流や学術探究活動を重点的に実施します。

国公立文理選択が可能で、放課後も多様な学習活動を行います。

特進コースについてはこちらをご覧ください。