3年目を迎えた九州工業大学 情報工学部との連携授業|データ分析を通して探究力を育む

飯塚高校 探究プロジェクト(特進コース)では、2026年度も九州工業大学 情報工学部との連携授業(※)を実施しています。本連携授業は、2024年度に始まった取り組みで、今年度で3年目を迎えます。
同授業は、九州工業大学 情報工学部と連携し、「情報I」の範囲を超えるデータ分析やシミュレーションなどの高度な手法を学びながら、情報分野やデータサイエンスへの理解を深めていく特別授業です。

生徒たちは、大学の先生方による講義を通して、データの活用方法や分析手法について学び、校内外で収集したデータをもとに分析・考察を行います。さらに、その成果をプレゼンテーションとしてまとめ、発表する活動にも取り組んでいます。
(※)2026年度は4月21日に第1回の授業を実施しました。今後も、2年生は「総合的な探究の時間」内で継続的に、1年生は年間3回程度、不定期で連携授業に取り組んでいく予定です。
1年生はデータ分析の基礎を、2年生は探究活動をさらに発展
今年度も、1年生と2年生を対象に、それぞれの学年に応じた内容で連携授業を行っています。
1年生は、データ分析を主題とした授業で、データの見方や扱い方、分析の考え方などを学びます。情報の授業だけでは触れきれない実践的な内容に取り組むことで、データを活用して物事を考える力を養っていきます。

2年生は、各自の探究学習のテーマに基づき、九州工業大学の先生方からデータサイエンスの観点で助言を受けながら探究を進めています。得られた成果は、九州工業大学が主催する中高生課題研究発表会などで披露する予定です。
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九州工業大学連携授業から生まれた研究成果
2024年度に第1期生として学び始めた現在の3年生は、1年次に「情報I」では扱わないデータ分析の手法や活用方法を学び、2年次にはそれぞれが興味のある分野から課題を設定して研究活動に取り組みました。
その成果の一つが、連携授業第1期生である松元悠晴さん(3年生)の班による「AIと骨格推定を活用したサッカー動作解析」です。
研究では、Googleが開発したMediaPipeの姿勢ランドマークを活用し、サッカー動作の映像を解析。各骨格の座標を抽出し、移動速度や関節角度を時系列グラフとして可視化することで、動作の速さやフォームの正確性を分析しました。

この研究成果は、2026年3月に九州工業大学で開催された「中高生課題研究発表会」で発表され、優良賞を受賞しました。大学の先生方の指導を受けながら、自ら問いを立て、データを集め、分析し、発表までやり遂げた経験は、松元さんにとって大きな自信につながりました。
「研究そのものを好きになる」経験に
今回、松元さんに、研究に取り組んだ過程や、授業を通して得た学びについて話を聞きました。

「1年前にこの授業を通して自ら掲げた『研究を通して、課題発見力や問題解決力を身につけたい』という目標が達成できただけでなく、『研究そのものを好きになる』という新たな興味や楽しさを見つけることもできました」
松元さんは現在3年生となり、1・2年生を対象とする本連携授業を受ける機会はなくなりました。しかし、研究を授業内だけで終わらせるのではなく、今後も個人的な時間を活用しながら、大学の先生方とも連携をとり、さらに研究を深めていきたいと意欲を見せます。
「研究成果をより発展させ、今後も研究発表会や大会などの場で発表できるよう挑戦していきたいと思っています」
連携授業を通して、松元さんはデータ分析の知識や技術だけでなく、課題を発見し、仮説を立て、検証し、成果として発表する力を身につけてきました。その姿は、後輩たちにとっても大きな刺激となっています。
また松元さんは、学園祭の会計を効率化するPOSシステムを開発し、九州大学で開催された「中高生探究フォーラム」(2026年3月)において「ライフイズテック賞」を受賞した生徒でもあります。
学校生活の中で感じた課題を自ら見つけ、テクノロジーを活用して解決へとつなげる姿勢は、本連携授業で育まれている学びとも重なります。
【関連記事】松元悠晴さんが「ライフイズテック賞」受賞|学園祭の会計を変えたPOSシステムを開発
飯塚高校では、こうした大学との連携授業を通して、生徒たちが単に知識を得るだけでなく、自ら問いを立て、データをもとに考え、研究として形にしていく力を育んでいます。
研究発表を通して芽生えた自信と進路意識
松元さんと同じ班で研究に取り組んだ生徒からも、本連携授業を通して研究への印象が大きく変わったという声が聞かれました。

「私はそれまで、研究といえば小学校の自由研究くらいしか経験がなく、宿題だから仕方なく取り組むものという印象を持っていました。そのため、最初はこの連携研究にもあまり前向きではありませんでした」
同じグループには、プログラミングを得意とする松元さんがいました。松元さんはすでに独自のアプリ開発やプログラミングにも取り組んでいたため、当初は松元さんを中心に研究を進め、自身はサポート役として関わるのがよいのではないかと考えていたそうです。
しかし、九州工業大学の先生方と連携しながら研究を進めていく中で、研究の面白さや奥深さを実感。次第に自分から積極的に取り組むようになり、新しいテクノロジーやプログラミングへの関心も高まっていきました。
「九州工業大学での研究発表会当日は、急遽リーダーである松元さんが欠席するというハプニングがありましたが、これまでグループのみんなと九州工業大学の先生方と作り上げてきた研究を、自信を持って発表することができました。質疑応答にも不安がありましたが、自分の言葉でわかりやすく伝えることができ、自分の成長につながったと感じています」
さらに、他校の研究発表を聞いたことで、研究への興味がより深まったといいます。
「この連携研究を経験したことで、研究に対する関心や九州工業大学への憧れがさらに強くなりました。これからは、教えてくださった九州工業大学の先生方のもとで研究に励めるよう、受験に向けて精進していきたいです」
研究に前向きではなかった生徒が、大学の先生方や仲間とともに取り組む中で、研究の楽しさに気づき、自分の進路への意欲を高めていく。そうした変化もまた、本連携授業が生徒たちにもたらしている大きな学びの一つです。
デジタル視点を持ち、課題解決に挑む人材へ

飯塚高校では、デジタルやAI技術が進化し続ける社会の中で、生徒たちが早い段階から情報分野やデータサイエンスに触れ、将来の進路選択や課題解決につなげられる学びを大切にしています。
本連携授業は、大学の専門的な知見に触れながら、自分の興味関心を研究へと発展させる貴重な機会です。
今後も飯塚高校では、大学や地域と連携しながら、文理横断的で探究的な学びを推進し、生徒一人ひとりが社会の課題に向き合い、自ら考え、行動できる力を育んでいきます。

