シルバー人材センターと嶋田学園が連携協定を締結。記念イベントは「日本代表戦」のパブリックビューイング【ジェイド飯塚】

飯塚市シルバー人材センターと学校法人嶋田学園は6月21日、多世代交流と地域活性化を目的とした連携協定を締結しました。両団体は、これからの協力活動の総称を「ジェイド飯塚(Jade Iizuka)」と名付けました。
協定締結を記念し、同日にはのがみプレジデントホテルにて、FIFAワールドカップ2026™ グループステージ第2節「チュニジア vs 日本」のパブリックビューイングが共同開催されました。

当日は、協定締結に関する発表会に、新聞社3社をはじめとする複数のメディアが取材に訪れたほか、パブリックビューイングには約180名が参加。

飯塚高校サッカー部の生徒やシルバー人材センターの会員、本校系列の認定子ども園 愛宕幼稚園の園児とその家族、地元ジュニアサッカーチーム、地域活動を生徒主体で企画・運営する「まちLabo」など、幅広い世代が会場に集まりました。
「ジェイド(翡翠)」は、シルバー(高齢者・経験・知恵)とグリーン(若者・生命力・未来)が出会うことで生まれる色です。「年齢や世代を超えた交流が、飯塚という地で新たな価値と輝きを生み出していく」。そんな思いが、この名前には込められています。0歳から100歳までが自然につながり、互いに学び、支え合うまちの姿を、これから「ジェイド飯塚」として発信していきます。
この協定は決して突然生まれたものではありません。さかのぼれば、その原点は2022年、本町商店街・東町商店街を舞台にした、飯塚高校の「街なか学園祭」でのコラボレーションにありました。
原点は「たこせん」。2022年、飯塚市商店街でのコラボ
飯塚高校を運営する学校法人嶋田学園は、長崎街道の宿場町として栄えた飯塚市中心部で、職業教育を行う私塾を起源としています。一方、飯塚市シルバー人材センターは1987年の設立以来、高齢者の就業機会の確保・提供と地域社会への参加促進を担ってきました。
教育機関と高齢者の就業支援組織として、それぞれ異なる立場で地域に根を張ってきた両者。もともと接点はあったものの、その関わりが本格的なものへと深まっていったのが、2022年に始まった街なか学園祭でした。

街なか学園祭は、飯塚高校が毎年11月に本町商店街・東町商店街を会場として開催する、全校規模の学園祭です。商店街全体を使って学園祭を行うという全国初の試みは、大きな注目を集めました。その第1回に、シルバー人材センターが運営する「シルバーショップふれあい」(現・休憩処とまり木)が、飯塚高校の生徒とともに「たこせん」のコラボ出店を行ったのです。
高校生とシルバー人材センターの会員が、同じ屋台に立ち、一緒に商品を売る。これが両団体の交流の原点となりました。シルバー人材センター常務理事の山上紀彦さんは、後にこの出会いを振り返り、「街なか学園祭から始まった連携が線でつながり、シニアの張り合いと地域の活力をもたらしている」と語っています。
一度の出店で終わるはずだった接点は、その後、点から線へ、線から面へと広がっていきました。
アーティストレジデンス、サッカー応援団ほか、広がる接点
街なか学園祭をきっかけに生まれた交流は、その後も様々な形で続いていきます。
2025年度には、飯塚高校と「休憩処とまり木(以下、とまり木)」が共同で「商店街アーティストレジデンス」プロジェクトを始動させました。数か月ごとにアーティストが商店街に滞在し、ワークショップや創作活動を行うという、産学官連携の取り組みです。

2026年5月には、ベルリンを拠点とする現代美術家・岡林まゆみさんによる「ストーリーライン~みんなでつながる絵のリレー~」が実施され、飯塚高校の地域活動組織「まちLabo」の生徒たちが参加しました。東京藝術大学関係者の支援も得て、インバウンドを含む地域活性化効果も期待されています。
また、街なか学園祭での「たこせん」コラボが縁となり、交流がより深まったのがサッカー部です。2024年7月、飯塚高校サッカー部が出場する「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ」に、シルバー人材センターの会員約70名が応援団として来場。
試合前には交流ランチ会も開かれました。生徒たちからは「世代を超えた交流で視野が広がった」「応援のおかげでいつも以上のパフォーマンスが出せた」といった感謝の声が寄せられ、応援が一方通行ではない、相互に支え合う交流の場になっていることが特徴です。
「まちLabo」も、2025年度から本格的に始動しました。商店街で奇数月第3土曜日に開催される「土曜マルシェ」の企画・運営にも、同年7月から協力を始めています。
2025年7月の土曜マルシェでは、シルバー人材センターとのコラボで「たこ焼き」の限定復活出店を実施。2022年の街なか学園祭での「たこせん」の流れを引き継ぐ形で、地域の活性化と世代間交流を両立させる取り組みとなりました。
老舗の味を引き継ぐ「永楽あんぱん」で、大阪・関西万博へ
両団体の連携の中でも、特に大きな広がりを見せ、国内外から注目を集めたのが「永楽あんぱん」プロジェクトです。

飯塚高校の放課後英語プログラム「グローバルプログラム・インテンシブ」(グローバル部)の生徒たちが、シルバー人材センターの「とまり木」、フランス・パリ発のブーランジェリー「メゾンカイザー」天神店と連携し、商品開発に取り組みました。
飯塚の老舗「永楽ぜんざい」(昭和20年創業・現在閉店)の餡をとまり木が受け継ぎ、その餡をメゾンカイザーの特製生地で包んで焼き上げたのが「永楽あんぱん」です。生地への餡詰めから、「永楽」の文字を刻む焼印を押す工程まで、すべてとまり木の会員が手作業で担っています。
2025年3月には嘉穂劇場でプレ販売を行い、1日200~300個を即完売。同年8月21日には、大阪・関西万博のフランスパビリオンにも出展しました。会場では「飯塚高校を応援したくなった」「飯塚市に行ってみたい」といった声が多く寄せられ、生徒たちは自分たちの活動が地域の魅力発信につながっていることを実感したといいます。今後は駅やオンラインでの販売も視野に、さらに商品として成長させていくことを目指しています。
体育祭のステージでも、世代を超えたダンスを披露
連携の広がりは、学校の中心的な行事にも及んでいます。2026年6月12日、飯塚市総合体育館で開催された令和8年度体育祭では、シルバー人材センターの60~80代の女性会員と健康教室講師、約15名が高校生とともにステージに立ち、「マツケンサンバⅡ」のダンスを披露しました。振り付けと指導を担当したのは、飯塚高校ダンス部。本番に向けて、世代を超えた練習が重ねられました。
たこせんの屋台から始まった交流は、わずか数年のうちに、サッカー応援団や商店街でのマルシェ、万博出展、そして体育祭のステージへと、確かな広がりを見せてきました。スマホ教室や竹灯篭の愛宕幼稚園への寄贈など、そのほかの交流も含めれば、その積み重ねはさらに豊かなものになります。
積み重ねの先に、連携協定という新たな形
これらの活動はいずれも、最初から大きな計画があったわけではありません。学園祭での共同出店という小さな始まりが、サッカーの応援につながり、商品開発につながり、体育祭のステージにつながっていく。その一つひとつの積み重ねの先に、両団体は今、「ジェイド飯塚」という名前を掲げ、新たな一歩を踏み出しました。
学校法人嶋田学園 常務理事の嶋田吉朗は、今回の協定について次のように語っています。「これまでの共同活動において、若者と高齢者が手を携えて地域にコミットすることで、本人たちの大きな成長や生きがいをもたらしながら、同時に未知の地域の可能性が開いていく瞬間を何度も見てきました」。
シルバー人材センター常務理事の山上紀彦さんも、「この協定は、単なる連携協定ではなく『教育』と『福祉』をつなぐ新たな地域づくりの第一歩です」と述べ、生徒には地域で学び成長する機会を、高齢者には経験や知恵を次世代へ伝える役割と生きがいを、それぞれ生み出していきたいという思いを語っています。
ジェイド飯塚の第一歩は、日本代表戦の観戦イベント
その第一弾として選ばれたのが、サッカー日本代表戦のパブリックビューイングでした。サッカー部の応援を通じて深めてきた交流の延長線上に、今度は高校生から高齢者まで、世代を超えてスポーツの熱狂を共有する場が用意されたのです。
嶋田吉朗は、今回の記念イベントについて「絆の一つであるサッカーを地域の方々も含めて楽しむことで、多くの方にその可能性を認識していただきたい」と語っていました。

記念イベント当日は、最初に連携協定締結に関する発表会が行われました。生徒やシルバー人材センター関係者が見守るなか、これまで積み重ねてきた連携を「ジェイド飯塚」としてさらに発展させていく方針が共有されました。
パブリックビューイングでは、サッカー部が冒頭に応援練習を実施。参加者も手拍子をしながら一緒に盛り上がり、高校生、高齢者、子どもたちが同じ空間で日本代表戦を楽しむ、温かな一体感が生まれていました。
また、会場運営では、生徒たちがシルバー人材センター側と一緒に準備や案内を担当しました。まちLaboの活動などを通じて、両者は以前から交流を重ねており、当日も自然に協力し合う姿が見られました。日頃のつながりが、イベントの現場でも確かに生きていました。

参加したシルバー人材センター関係者からも、「本当に楽しかった」という声が多く寄せられました。協定締結の記念イベントは、世代を超えて同じ時間を共有し、地域のつながりを実感する場となりました。
世代がつながり、街が元気になる好循環を
高齢者福祉と教育の連携を軸に、両団体は街の活性化につながる協力活動を、これからも継続的に展開していきます。すでに、まちLaboとグローバル教育プログラムの生徒が参加するアーティストによるワークショップが実施されたほか、7月には愛宕幼稚園でのワークショップも予定されています。
高齢者の豊かな経験と知恵が若い世代の成長を支え、若い世代のエネルギーが地域を活気づける。飯塚高校とシルバー人材センターは、こうした好循環を生み出す「まちづくりのためのユニット」として、「ジェイド飯塚」を育てていく考えです。
たこせんの屋台から始まった小さな交流が、協定という形を得て、これからどのような広がりを見せていくのか。飯塚高校は、その歩みをこれからも発信していきます。

