高校1年生から、大学の授業へ。福岡県立大学「手話」集中講義に参加しました

福岡県立大学「手話」集中講義に参加

夏季休業期間を含む8月中旬から下旬にかけての5日間、特進教育医療コース(公共探究プロジェクト)の1年生4名が、福岡県立大学で開講された前期集中講義「手話」を受講しました。これは、飯塚高校と福岡県立大学が2025年度に締結した連携教育に関する協定に基づく取り組みの一つです。

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今回参加したのは、福岡県立大学の福祉専門教育科目として開講されている、90分×15コマの大学の授業です。生徒たちは科目等履修生と同じ形で大学生と一緒に教室に入り、手話について学びました。集中講義とはいえ全学共通科目ではなく、興味を持った学生だけが任意で履修する専門性の高い授業。大学の先生や手話通訳士と密にやり取りできる贅沢な学びの時間となりました。

「聞こえないとはどういうことか」から始まったアカデミックな学び

引率した小山貴大先生も、初日の1コマ目は生徒たちと一緒に教室で授業を受けました。そこで最初に投げかけられたのは、手話の動きではなく「聞こえないとはどういうことか」という問いでした。

教室や家庭などの日常風景を見ながら、音が鳴っている場所を考えてみると、テレビやパソコンだけでなく、エアコンをはじめ、身の回りのさまざまな場所から音が発せられていることに気づきます。私たちが普段、生活音や環境音から多くの情報を受け取っていることを確かめながら、聞こえない人に社会がどのように見えているのかを考えました。

福岡県立大学「手話」集中講義の様子

講義を担当したのは、耳が聞こえない先生です。授業中はずっと手話通訳士が間に入り、先生の言葉を伝えてくれました。生徒たちは、通訳を介して学ぶという環境そのものから、「聞こえない世界」を肌で感じることになったようです。

手話通訳士がどのような仕事をしているのか、また、聞こえない人と聞こえる人をつなぐ「電話リレーサービス」の仕組みについても学びました。私たちが毎月支払っているスマートフォンの利用料金の中には、電話リレーサービスを支えるためのわずかな負担金が含まれている、といった話も紹介されました。そのように、身近だけれど、これまで意識してこなかった社会の仕組みに気づかされる場面もあったといいます。

このほか、手話の歴史や成り立ち、国や地域による表現の違いについても学びを深めました。手話を一つの言語として捉えるとともに、聴覚に障がいのある人の暮らしや、それを支える社会の仕組みにも目を向けました。会話表現に入る前に、これだけの時間をかけて社会や文化への理解を深めていくところに、大学ならではの専門的な学びの厚みが感じられます。

大学生と手話で伝え合う

その後は、名前や数字、家族構成など、身近な事柄を手話で伝える実技に進みました。1日目は名前と数字、2日目は家族構成というように、一回ごとに着実に表現を積み重ねていきます。大学生とのペアワークやロールプレイも行われ、教室内を移動しながら一対一で表現を確かめ合いました。休み時間にはお菓子をお裾分けしながら大学生と会話を交わすなど、高校の教室とは異なる環境で交流を深めることができました。

最終日には、自己紹介や家族について手話で伝えるプレゼンテーションを実施。5日間の学びを、自分の手で表現する機会となりました。

福岡県立大学「手話」集中講義の様子

受講した生徒からは、次のような感想が寄せられています。

「手話の講義を受けて、初めて知った手話もたくさんありました。なぜこの手話になるのか不思議でしたが、詳しく説明してくれたおかげで理解できました。家族構成や数字などを学んで、自己紹介までできるようになりました。親にも教えたいと思いました」

「昔の手話の歴史や、どのように手話がつくられたのかがとても興味深かったです。日常で使える手話も多く、とても役に立ちました」

「手話通訳がとても分かりやすくて、尊敬しました」

「手話は世界共通だと思っていましたが、国によって違いがあることを知りました」

高校1年生の段階で、大学の学びへ接続

手話の背景にある歴史や文化、社会制度を知り、聞こえない人が暮らす社会について考えたうえで、手話の技術も身につける。生徒たちにとって、大学ならではの専門的な学びに触れる5日間となりました。

また、この講義は科目等履修生としての単位が認められるもので、取得した単位は福岡県立大学以外の大学でも活用できる可能性があります。高校在学中に大学の授業を受け、単位まで得られるというのは、なかなかできない貴重な経験です。

この前期には、特進コース1・2年生を対象にした、オンデマンド形式の講義「ワンヘルス」も開講されており、多くの生徒が受講しました。ワンヘルスとは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康として捉え、一体的に守っていくという考え方で、福岡県が推進する教育プログラムの一つです。手話とワンヘルスを合わせると、今回84名の生徒が福岡県立大学の授業に参加したことになります。大学の単位を取得できるこうした機会は、特進コースならではの魅力の一つです。

特進教育医療コースは、教育・保育・看護・薬学・臨床心理など、人を支える現場と連携しながら、専門知識と思いやりを兼ね備えた人材を育てることを目指しています。今回の集中講義は、その学びを大学という環境の中で、より深く体験する機会となりました。

飯塚高校では、福岡県立大学をはじめ、九州大学や福岡大学、九州工業大学、関西大学、慶應義塾大学、近畿大学など、さまざまな大学との連携を通して、高校在学中から大学の専門的な授業や学問に触れる機会を設けています。今後もこうした連携をさらに広げ、生徒一人ひとりの関心や進路につながる学びを充実させていきます。

9月5日、特進教育医療コースの学びを体験しよう

今回の手話講義をきっかけに、9月5日(土)に開催する第3回オープンキャンパスでは、UC(色のユニバーサルデザイン)アドバイザーの資格を持つ小山先生が、『【特進教育医療コース】誰にでも「見える」ユニバーサルデザインづくり』と題した授業を担当します。

「空ってどうして青いの?」「自分の青とあの子の青は同じ色?」——色の見え方は人それぞれです。小さな子どもたちにも、高齢の方にも、誰にでも「見える」デザインを一緒に考えてみましょう。対象は中学1年生から3年生とその保護者の方で、定員は100名です。持ち物は特に必要ありません。参加申し込みは9月3日(水)23時59分まで受付中ですので、この機会にぜひお申し込みください。皆さまのご参加をお待ちしています。