2年1組が13か国のJICA研修員と英語で対話 その場で考えて返す「即興の英語」に挑戦【特進コース】

JICA(国際協力機構)の研修員と話す生徒たち

飯塚高校 特進コースでは10月9日(金)の5・6校時、2年1組を対象に、JICA(国際協力機構)の研修員との交流プログラムを英語の授業として実施しました。本校で受け入れているタイからの交換留学生も一緒に参加しました。

来校したJICA研修員と生徒が向かい合う様子

来校したのは、産業廃棄物処理の専門家としてJICAで研修を受けている、インドネシア、ラオス、ブータン、スリランカ、パプアニューギニア、ブラジル、トルコ、アンゴラ、コートジボワール、コソボ、ザンビア、ホンジュラス、ペルーの13か国14名の皆さんです。

生徒たちは、自分たちで調べた世界の課題について英語で発表したあと、研修員の皆さんと質問や意見を交わし、フリートークも楽しみました。

飯塚高校はユネスコスクール(※)として、SDGsを知識として学ぶことに加え、平和や異文化理解、文化の多様性、持続可能な社会づくりといった世界共通の価値観を、日々の学びや行動として実践することを大切にしています。

※2020年にはグローバル教育や地域連携活動を評価され、支援大学(福岡教育大学)による審査に合格してキャンディデート校に。2023年1月には福岡県の私立校として初めて、正式にユネスコスクールに認定されました。

JICAとの学びもその一つです。今年6月には、IEプログラムを受講する1年生がJICA九州国際センターを訪問し、講話や展示見学、貿易ゲームなどを通して、世界の課題や国際協力について学びました。今回は研修員の皆さんを本校に迎え、2年生が英語で直接対話しました。

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質問を受けてその場で返す英会話を実践

今回のプログラムは、猿渡和則副校長から、特進コース長/英語科主任の小山貴大先生に「英会話の機会として実施してはどうか」と提案があったことをきっかけに実現しました。猿渡副校長は、その思いをこう語ります。

「本物にふれさせたい、というのが一番の思いです。学んだことをアウトプットする機会が圧倒的に少ないと感じ、外国の方と直接話をする機会を設けることを提案しました。生徒たちにはグローバルな視野を持ってほしいと、常々考えています。英語でのコミュニケーションに自信がない生徒もいると思いますが、この機会が生徒一人ひとりにとって、英語学習に対する内発的動機付けになってほしいという思いで、小山先生に提案しました」(猿渡副校長)

猿渡副校長からの説明

提案を受けた小山先生は、その場で英語を使う機会をつくりたいと考え、2年1組での実施を決めました。その狙いについて、小山先生はこう説明します。

「英語のライティングとプレゼンテーションは、時間をかけて考えたことを、手で書くか口で話すかの違いで、ほぼ同じものだと私は考えています。スピーキングは、そのプレゼンテーションと、会話(インタラクション)の2つに分かれます。質問を受けてその場で返す即興性のある会話は、通常の授業ではなかなか難しい部分でした。今回はそこを生徒たちにぜひ経験してほしいと考えました」(小山先生)

SDGsに立ち返り、班ごとに世界の課題を英語で発表

研修員の皆さんと対話するにあたり、生徒たちは英語の授業2〜3時間分を使って事前の準備に取り組みました。

ユネスコスクールとしての学びを生かし、あらためてSDGsに立ち返って、いま世界にどのようなグローバルイシューがあるのかを班ごとに調べました。題材にしたのは、英語の教材に収められたグローバルイシューに関する英文です。産業廃棄物に限らず、それぞれが最も関心を持てる問題や、その改善に向けた取り組みをテーマに選びました。

各班が取り上げたテーマは、輸入した食料の生産に使われた水の量から考える「バーチャルウォーター」をはじめ、「フェアトレード」「戦争と子ども兵士」「ジェンダー平等」「地球温暖化」など多岐にわたります。生徒たちは調べた内容をスライドにまとめました。

研修員の皆さんとの交流は、生徒たちが「自分たちは今の世界の課題をこう捉えている」と英語で発表するところから始める構成としました。

クイズで引き込み、会話も途切れず。即興で答えられなかった悔しさも学びに

当日は、研修員の皆さんが到着するまでの約30分間、猿渡副校長がこれまでの経験について講話を行いました。猿渡副校長は、青年海外協力隊としてセントビンセント及びグレナディーン諸島で体育指導にあたったほか、カンボジア・シェムリアップ市の教員養成プロジェクトに専門家として携わった経験があります。

当日の生徒たちの様子について、小山先生は「想像以上にしっかり話せていた」と振り返ります。

「事前に時間をとって調べていたこともあり、自分の発言にある程度自信を持てていたのだと思います。プレゼンにクイズのコーナーを入れるなど、相手を引き込むための工夫をしていた班もありました。その準備があったからこそ、その後のフリートークでも大きな沈黙をつくることなく、最後まで楽しそうに会話ができていました」(小山先生)

研修員と話す生徒

ある班では、研修員から「日本人はなぜよくマスクをしているのか」と尋ねられ、生徒たちが答えに迷う場面もありました。自分たちにとっては身近な習慣でも、海外の方の目には不思議に映ることがあると知り、普段は意識していない当たり前について考えるきっかけになったようです。

「外国の方からそれぞれの国の話を聞くことで、日本との違いに気づく良い機会になったと思います」(猿渡副校長)

研修員と話す生徒

一方で、専門家である研修員から、生徒たちが調べた内容について高度な質問を受け、うまく答えられない場面もありました。クイズで研修員を引きつけていた班の生徒の一人は、準備を重ね、英語も得意としていました。それでも、即興で答えようとすると思うように英語が出てこず、知識や聞き取る力も足りなかったことを「すごく悔しかった」と話していたそうです。

「この悔しさは、語学学習にとって大切な、良い挫折だったと思います。いい経験をしたと感じています」(小山先生)

猿渡副校長は「今後も、JICAをはじめ国際協力関係機関と連携を取りながら、生徒の視野を広げる取り組みを進めていきたいと考えています」と話します。

飯塚高校では今後もユネスコスクールとして、海外の方と直接言葉を交わす機会を大切にしながら、生徒たちが英語で考え、伝える力と、多様な人々を尊重し世界とつながっていく力を育んでいきます。