科目横断型授業でオープンキャンパスのお土産「消しボタくん」を考案

英語で行動経済学の理論を学び、情報の技術を使って商品を設計し、その魅力を英語でプレゼンテーションする——。飯塚高校の2年1組(特進選抜クラス)で、教科の枠を越えた科目横断型授業が行われました
授業のテーマは「飯塚高校のオープンキャンパスで配るお土産を考えよう」。生徒たちは、英語、公民(経済)、情報、探究の要素を横断しながら、中学生に飯塚高校を身近に感じてもらうためのオリジナルグッズを考案しました。
授業を企画したのは、小山貴大先生(企画・広報副部長 兼 特別進学コース長 兼 英語科主任)です。小山先生は、教科ごとに学んだ知識を結び付け、実社会の課題に生かす科目横断型の学びを授業に取り入れています。また、一般財団法人日本私学教育研究所の委託研究員として、こうした教育実践をもとに「科目横断」をテーマとした研究にも取り組んでいます。
※掲載している「消しボタくん」の画像は、生徒が生成AIで作成したイメージです。実際の完成品とは異なる場合があります。
行動経済学を英語で学び、お土産の役割を考える

授業の出発点となったのは、行動経済学に関する2つの英文です。
一つ目のテーマは、誰かから何かを受け取ると、お返しをしたいと感じる「返報性の法則」。生徒たちは、お土産が中学生に飯塚高校を身近に感じてもらうきっかけになる可能性について考えました。
二つ目は、繰り返し目にするものに親しみを感じやすくなる「単純接触効果」です。この考え方から、「学校名やロゴが入っているもの」「日常的に繰り返し使えるもの」という、お土産を考えるうえでの条件を導き出しました。
単に英文の意味を読み取るだけではなく、そこから得た知識を、実際の商品づくりにどう生かすのか。生徒たちは、英語と経済の視点を結び付けながらアイデアを広げていきました。
アイデアを3Dで設計し、英語でプレゼンテーション

商品のアイデアを考えたあとは、3Dモデリングソフトの操作方法を学び、グループごとに商品を設計しました。ソフトの操作や設計には、英語の授業に加えて探究の時間も活用。教科の枠を越えながら、アイデアを具体的な形へと発展させていきました。

最終的には、各グループが考案した商品の特徴や魅力を英語で発表しました。発表の場には、特進選抜クラスを担当する教員やネイティブの英語教員なども参加。アイデアや発表内容をもとに投票を行い、オープンキャンパスのお土産として商品化を目指す作品を選びました。
英語でインプットした公民科(経済)に関する理論を、情報科で学んだ技術を用いて形にし、最後は英語で相手に伝える。英語と探究を中心に、複数の科目の知識を活用する、科目横断型の学びとなりました。
中学生を思って生まれたアイデアの数々。最優秀作品は「消しボタくん」

各グループからは、「単純接触効果」を踏まえ、日常の中で繰り返し使ってもらえるよう工夫したさまざまなアイデアが生まれました。

毎朝の目覚ましアラームを鳴らすスピーカー付きスマートフォンスタンド、持ち運びやすいコインケース、マクドナルドのポテトをイメージしたペン立てなどです。

また、中学3年生への応援の気持ちを込めた作品もありました。幸運を願う四つ葉のクローバー型のイヤホンコードリールや、受験の「パス(合格)」にかけたパスケースなど、中学生が実際に使う場面や、そこに込めるメッセージまで考えた提案が発表されました。

こうした作品の中から、投票で最も高い評価を得たのが、消しゴムのカスをためる卓上アイテム「消しボタくん」です。

「消しボタくん」は、勉強中に出た消しゴムのカスを机の上で集められるアイテムです。机をきれいに保つだけでなく、たまった消しゴムのカスを見ることで、「これだけ頑張った」と自分の努力を振り返ることができるというアイデアが込められています。

「塵も積もれば山となる」という言葉のように、日々の小さな積み重ねが目に見える形になる仕掛けです。実用性に加え、日々の努力を可視化し、勉強への意欲につなげる発想が込められています。
現在は、生徒たちのアイデアをもとに、3Dプリンターで製造できるよう設計を調整しています。生徒たちが授業の中で考えたものが、実際に手に取れる商品へと形を変えようとしています。
教科の枠を越え、学びを社会につなげる
小山先生は、今回の授業について次のように話します。
「普段、生徒たちは模擬試験や英検などで点数を取ることを意識して学んでいます。だからこそ今回は、授業で身につけた知識が、日常生活を豊かにしたり、新しいものを生み出したりすることにつながると実感してほしいと考えました」
英語、公民、情報など、学校では教科や科目ごとに分けて学びます。しかし、それぞれの学習内容には共通する部分があり、異なる知識を意識的に結び付けることで、新しい価値を生み出すことができます。小山先生は、こうした学びを「知の高次元結合」と捉えています。
「英語で学んだ行動経済学の理論をもとに商品を企画し、情報の技術を使って形にし、最後は英語で相手に伝える。生徒たちには、教科や文系・理系といった枠を越えて知識を結び付け、一つのものを生み出す経験をしてほしいと思いました」
今回の授業は、小山先生が一般財団法人日本私学教育研究所の委託研究員として進めている「科目横断」に関する研究実践の一つでもあります。
「私自身が研究に取り組み、実践を重ねて成果発表につなげていく姿を、生徒たちにも一つのモデルとして見てもらえたらと思っています。探究活動に取り組む生徒たちにも、自ら行動を起こし、夏休みなどを活用しながら成果を積み重ねてほしいです」
さらに、お土産を受け取る中学3年生の姿を具体的に思い描くことにも、意味がありました。飯塚高校への理解や愛着を深めるとともに、自分たちが最上級生となり、新入生を迎える来年度を意識する機会にもなったといいます。
飯塚高校では、知識を身につけるだけでなく、それらを組み合わせ、身近な課題や社会と結び付けて考える授業を行っています。これからも、生徒の自由な発想を引き出し、学んだことを実践につなげる教育に取り組んでまいります。
「消しボタくん」をオープンキャンパスのお土産に
生徒たちが考案した「消しボタくん」は、8月以降に開催するオープンキャンパスにおいて、小山先生が担当する「特進アカデミックコース(学術探究プロジェクト)」の講座体験を受講した方へのお土産として配布することを予定しています(※)。
生徒たちの学びと発想が詰まった「消しボタくん」を、参加者の皆さんに実際に手に取っていただけるよう、現在、製作を進めています。
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※「消しボタくん」は現在製作中です。8月19日の第2回オープンキャンパスからの配布を目指していますが、3Dプリンターによる製造状況や参加人数によって、配布日・配布方法・配布数量が変更となる場合や、配布できない場合があります。あらかじめご了承ください。

