世代を超えた関係を、まちを動かす力に――ジェイド飯塚が描くこれから【対談 後編】

対談の様子

前編では、飯塚市シルバー人材センターと学校法人嶋田学園が連携協定を締結し、「ジェイド飯塚」という新たなユニットを立ち上げた背景を伺いました。

後編では、この取り組みが高校生や高齢者、地域にどのような価値をもたらすのか、ジェイド飯塚がこれから目指す未来について、飯塚市シルバー人材センター 常務理事の山上紀彦さんと学校法人嶋田学園 飯塚高校 常務理事/校長補佐・嶋田吉朗(以下、敬称略)に語っていただきました。

前編記事はこちら

教え合い、支え合う関係は、こうして生まれた

山上 紀彦さん(飯塚市シルバー人材センター 常務理事/事務局長)
山上 紀彦さん(飯塚市シルバー人材センター 常務理事/事務局長)

――お二人との打ち合わせの中でたびたび出てきたのが、「高校生とシルバー人材センター会員が、お互いに刺激を与え合う関係」という言葉でした。この点についても、より詳しく伺いたいと思います。

山上:うちの会員さんにとって、高校生と関わることは何よりの刺激になっています。若い人たちの発想や、デジタルの力、SNSでの発信力を一緒に楽しむ姿を見ると、本当に微笑ましく思います。

――世代の違う両者が刺激を与え合う関係は、最初から意図的に設計されたものだったのでしょうか。

山上:正直に言うと、想定外でした。最初は心理的な距離があり、お互いにどう対応していいか分からない時期があったと思います。でも回数を重ねるうちに、少しずつ距離が縮まっていきました。うちの会員さんたちが生徒さんの名前を覚えていたり、生徒さんたちがうちの会員さんに挨拶をしてくれたり。何年もかけて培ってきた結果です。

嶋田:私たちにとって、この関係が始まったきっかけは、2022年に始まった街なか学園祭を手伝っていただいたことでした。それまでは、シルバー人材センターさんとこれほど深く関わり合えるとは思っていませんでした。でも初年度、一緒にお店を出したとき、高齢者の皆さんとうちの生徒たちはすぐに打ち解け、自然にひとつのチームとして肩を組み、写真に収まっていました。その光景に、こんな関係が生まれるのかと気づかされたのです。一方的に与えて完結する関係ではなく、共に取り組みを続けるパートナーだからこそ生まれる深さがあるのだと思います。

実際、両者の関係は一方通行ではありません。高齢者が若い世代に経験や知恵を伝えるだけでなく、高校生がダンスやスマホの使い方を高齢者に教える場面もあります。どちらかが一方的に支援するのではなく、お互いの力を生かし合う。そうした関係は、いくつもの具体的な場面となって、すでに形になっています。

体育祭のダンスから、幼稚園での仕事まで。広がり、深まる関係の形

山上:2026年6月の飯塚高校の体育祭で、60〜80代の女性会員の方々が、高校生と共にステージでダンスを披露しました。あの声援は、シニア世代の皆さんの生きがいになったと思います。演目終了後には、参加した会員の皆さんが感極まって涙を流していました。「この年になって、こんな感動を味わうなんて思わなかった」とおっしゃっていました。世代を超えて、一つのチームのように仲間を応援し合える生徒を輩出する高校は、なかなかないと思っています。

嶋田 吉朗(学校法人嶋田学園 常務理事、飯塚高等学校 校長補佐)
嶋田 吉朗(学校法人嶋田学園 常務理事、飯塚高等学校 校長補佐)

嶋田:単独で、閉じたところでやっていては、絶対に生まれない価値だと思います。高校生とシニア世代が一緒にステージに立つという、普段ならなかなか踏み出さない一歩を踏み出してみたときに、想像を超えて盛り上がることが何度も起きました。うちの生徒があの場を自然に盛り上げてくれたことを、誇らしく思っています。

こうした関係は、飯塚高校だけでなく、嶋田学園が運営する認定こども園 愛宕幼稚園にも広がっています。

嶋田:今では愛宕幼稚園でも、シルバー人材センターの方々に保育に関わっていただいています。子どもたちにとっては、先生という大人に加えて、大事にしてくれる存在ができる。会員の皆さんは、まさにおじいちゃん・おばあちゃんのような存在として、愛情を注いでくださっています。

山上:シルバー人材センターにとって、教育の現場や園児たちと触れ合う仕事は、これまで会員の就業先の選択肢にはありませんでした。2年ほど前から愛宕幼稚園さんで初めて挑戦させていただいています。会員たちが一番喜んでいるのは、園児さんの可愛さや、頼ってもらえること、顔を見に行けることです。それが生きがいにもつながっていますし、先生方にとっても、シルバーの会員が関わることで心の余裕が生まれ、人手不足への一つの解決策になり得るのではと感じています。

共にまちを動かす仲間を、増やしていく

対談の様子

――高校、そして幼稚園とここまで広がってきた関係を踏まえて、ジェイド飯塚として、これから実現していきたいことを教えてください。

山上:アーティストレジデンスは継続し、嶋田学園さんと一緒に芸術の分野を構築していきたいと考えています。今後も、まちLaboや愛宕幼稚園さんを含めた形で、いろいろな作家さんとのコラボレーションを重ねていく予定です。

嶋田:直近では、7月30日に愛宕幼稚園で、造形作家でブックアートで知られる小林雅子さんによる万華鏡づくりのワークショップを行い、生徒にも手伝ってもらう予定です(※本対談は2026年7月21日に実施)。あわせて力を入れていきたいのが、前編でも触れた「面」を広げる取り組みです。飯塚を発祥とした企業さんや、飯塚に根づいた企業さんに、それぞれの特徴を生かして「ジェイド飯塚で何ができるか」を一緒に考えていただきたいですね。


――この記事を読んで「関わりたいけれど、自分たちの強みを生かせるか分からない」と感じる企業や個人には、どのように参加してほしいですか。

山上:まずは一度お話をさせていただき、私たちが目指すところをご理解いただいた上で、何ができるかを一緒に考えていきたいです。大きなことである必要はなく、小さなところから徐々に輪が広がっていけばいいと思っています。

嶋田:今はまだ、賛助会員やボランティア会員といった仕組みが整っているわけではありません。ただ、まずはジェイド飯塚という前向きな取り組みが始まったことを知っていただき、共感していただくこと。そこから、アーティストレジデンスのお手伝いをしたいという方や、学園祭への協賛など、個別の活動に興味を持っていただくことが、入り口になればと思っています。

たこせんの屋台から始まった小さな交流は、いくつもの場面を経て、「ジェイド飯塚」という一つの旗のもとに束ねられました。教育と福祉、そして地域が手を取り合いながら、0歳から100歳までが自然につながるまちを目指す挑戦は、まだ始まったばかりです。

ジェイド飯塚に関心をお持ちの皆さまへ

ジェイド飯塚では、世代を超えた交流や、教育と福祉が連携する地域づくりに関心をお持ちの企業・団体・地域の皆さまとのつながりを、これから広げていきたいと考えています。専門的な知識や技術を生かした共同企画、活動場所の提供、高校生・高齢者との商品開発やイベントへの協力など、関わり方はさまざまです。具体的な協力・協賛募集等については今後様々な形では発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。


(お問い合わせ先)
学校法人嶋田学園 飯塚高等学校
〒820-0003 福岡県飯塚市立岩1224
TEL:0948-22-6571
Mail:mail@iizuka.ed.jp

これまでの活動や、ジェイド飯塚が目指す姿について、より詳しくは「ジェイド飯塚 特設ページ」をご覧ください。

※本対談は2026年7月21日に実施されたものです。