情報Ⅰの授業でオープンキャンパスのお土産を企画。1年1組のアイデアを集めた「GLIクリップ」が完成

プレゼンテーションする生徒

飯塚高校の1年1組で、「情報Ⅰ」の授業の一環として、オープンキャンパスで配るお土産を企画・試作し、プレゼンテーションする取り組みが行われました。

生徒たちは、3Dプリンターを使った商品づくりと、相手に伝わるスライドづくりの両方に挑戦しました。完成したお土産は、第5回オープンキャンパスで実際に配布しました。

今年度は2年1組も、科目横断型授業でお土産「消しボタくん」を考案しました。今回の1年1組の取り組みは情報Ⅰの単元として行い、新しい技術に触れることと、プレゼンテーションを学ぶことを主な狙いとしています。

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中学生の気持ちを想像して、お土産を企画。友達づくりにつながるアイデアも

授業を担当したのは、小山貴大先生です。今回の取り組みでは、3Dプリンターという比較的新しい技術に触れながら、情報Ⅰの単元の一つであるプレゼンテーションに重点を置いて学びました。

傘に付ける目印「アンブレラマーカー」の製作

生徒たちはまず、3Dモデリングソフトの使い方を練習するため、傘に付ける目印「アンブレラマーカー」の製作に取り組みました。操作に慣れたあとは、3人1組の6チームに分かれて、お土産の企画をスタートしました。中学生の気持ちを想像して、どんなものがあれば嬉しいかを考えていきました。

各チームが提案したのは、スマートフォンスタンド、パスケース、クリップ、写真キーホルダー、シャープペンシルの芯ケース、折りたたみ式の定規の6つです。多くのチームが、飯塚高校のロゴである「GLI」マークをデザインに取り入れ、使うたびに飯塚高校を思い出してもらえるよう工夫していました。

パスケースを提案したチームは、高校に「合格する」という意味の「パス」とパスケースをかけて「GLIパス」と名付け、シールで自分だけのデザインにできる楽しさも提案しました。シャープペンシルの芯ケースのチームは、丸いくぼみに磁石を入れて開閉できる仕組みを考えています。

中でもユニークだったのが、パーツを取り外せる折りたたみ式の定規です。新しい環境で話せる友達が限られがちな新入生にとって、パーツの貸し借りや交換が新たな交流のきっかけになる、という発想が込められていました。入学から半年ほどの1年生だからこそ生まれた視点といえそうです。

「何を載せ、どう見せるか」。スライドづくりの技術を学ぶ

スマホスタンドを提案したチーム
スマホスタンドを提案したチーム

商品を企画したあとは、各チームでプレゼンテーションを行いました。英語の授業でプレゼンテーションを扱う場合は、ボディランゲージや聞き手への問いかけなど、話し方の技術が中心になることが多くあります。今回は情報の授業として、スライドづくりの技術を重点的に学びました。

授業では、スライドに載せる情報量や見せ方、色の使い方、フォント、ピクトグラム、ユニバーサルデザインなどを扱いました。発表の構成についても、伝わりやすい話の組み立て方を学んでいます。生徒たちは、授業で配られた詳しい資料を手元に置きながらスライドを作成し、発表に臨みました。

パスケース「GLI PASS」を提案したチーム
パスケース「GLI PASS」を提案したチーム


実際の発表でも、聞き手を引き込む工夫が見られました。パスケースを提案したチームは、「定期券が見つからない」「必要なカードを探すのに時間がかかる」といった身近な困りごとを投げかけてから、それを解決する商品として「GLIパス」を紹介しました。ほかのチームも、商品を考えた理由やおすすめのポイントを順に示しながら、中学生にとっての使いやすさを伝えていました。

「GLIシャー芯入れ」を提案したチーム
「GLIシャー芯入れ」を提案したチーム

前期末に実施した授業アンケートでは、「授業内で特に印象に残った活動」として、今回のプレゼンテーションを挙げる声が寄せられました。

「お土産を決めるためのプレゼン大会。1の1の個性丸出しで面白かったから」

「プレゼンテーション。スライドや発表原稿などを作るのは大変だったけど、楽しかったから」

クラスのアイデアを一つに。「GLIクリップ」をオープンキャンパスで配布

お土産として実際に製作したのは、「GLI」マークの形をかたどったクリップです。提案したチームは、プリントが多い中学生の身の回りを整えられることや、オープンキャンパスで配るプリントをまとめて渡せることを理由に挙げていました。発表からオープンキャンパスまでの限られた期間で、3Dプリンターでの印刷にかかる時間も踏まえ、実現できる形として選ばれました。

クリップの形は、提案したチームの案から少し変えています。小さなクリップをたくさん作り、受け取った人同士で交換したり、オープンキャンパスに来られなかった友達に渡したりできるようにしました。

この「交換して楽しむ」発想は、定規を提案したチームのアイデアを取り入れたものです。試作の段階では、別のチームから出た「磁石で開閉する」アイデアも検討しましたが、3Dプリンターの精度の関係で、磁石を埋め込む形は実現できませんでした。

文字を穴として抜くと糸を引いてしまい、「R」や「A」などの形もうまく表現できなかったため(上)、文字を立体にする形に工夫しました(下)
文字を穴として抜くと糸を引いてしまい、「R」や「A」などの形もうまく表現できなかったため(上)、文字を立体にする形に工夫しました(下)
モデリングした物体の位置(座標)の問題で、印刷に失敗した例
モデリングした物体の位置(座標)の問題で、印刷に失敗した例


製作の段階では、3Dプリンターの印刷温度を細かく調整したり、文字を穴として抜くか立体として表現するかを検討したりと、試行錯誤が続きました。モデリングした物体の位置(座標)が原因で、印刷に失敗することもあったそうです。こうした調整を一つひとつ重ねて、クリップは完成へとたどり着きました。

完成したクリップについて、小山先生はこう話します。

「クリップという案は一つのチームのものですが、この形に落とし込むまでには、いろいろなチームのアイデアが含まれています」

完成した「GLIクリップ」
完成した「GLIクリップ」

第5回オープンキャンパスでは、全員分の印刷が間に合わなかったため、アイスブレイクを兼ねてじゃんけん大会を行いました。勝った参加者にはクリップを3〜4個ずつお渡しし、「一つは使う、一つは保存、一つは誰かにあげてください」と伝えています。来場できなかった人にも届くようにという、生徒たちのアイデアを生かした渡し方です。

このお土産に込められた生徒たちの思いについて、小山先生はこう話します。

「高校生たちは、後輩が入ってきてくれるのを楽しみにしながら、中学生が何をもらったら喜ぶかを考えて作ってくれました。そのことを、中学生の皆さんに知ってもらえたら嬉しいです」

企画から伝えるまでを一通り経験

小山先生は、今回の授業の意義を次のように話します。

「3Dプリンターで工作するだけ、調べたことを発表するだけで終わらず、発表する内容から自分たちで考え、プレゼンテーションも自分たちで行いました。高校1年生の前期のうちに、アイデアを出すところから人に伝えるところまでの一連の流れを経験できたのは、情報の授業ならではだと思います」

今後は、より効果的な商品づくりや、購入する人の心理に働きかける工夫、広報の方法などを学ぶことが次のステップになると、小山先生は考えています。

飯塚高校では、授業で身につけた知識や技術を、誰かに届けるものづくりへとつなげる学びに取り組んでいます。これからも、生徒たちの自由な発想を形にし、伝える経験を大切にしてまいります。