担当国の立場に立ち、対話と交渉に挑む。4名の生徒が「第10回全国中高教育模擬国連大会」に参加

8月8日(土)・9日(日)、東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで「第10回全国中高教育模擬国連大会」が開催され、飯塚高校から小林由奈さん、田中凛さん、原田佳音里さん、松岡迅さんの4名が参加しました。
模擬国連では、参加者が担当国の大使となり、国際社会が抱える課題について議論や交渉を行います。担当国の歴史や情勢、政策などを事前に調べ、その国の立場や利益を踏まえて主張を組み立て、他国の大使との合意形成を目指します。
今年の議題は「国際刑事裁判所(ICC)改革」。本校の生徒たちは2名ずつのペアとなり、小林さんと原田さんがパナマ、田中さんと松岡さんがウガンダの大使を務めました。全国から集まった高校生との2日間にわたる会議を通して、国際的な課題への理解を深めるとともに、対話する力や相手の立場を踏まえて交渉する力を磨きました。
議題書を読み込み、自分たちの考えを形に
大会に向け、生徒たちは国際刑事裁判所の設立根拠となるローマ規程の内容や、担当国と国際刑事裁判所との関係、担当国と似た状況にある国々について調べてきました。
準備段階では、議題書を時間をかけて読み込み、内容を理解しようと努めたうえで、論点ごとに自分たちの意見をペアで話し合う姿が見られました。議題書や各自で調べた情報をもとに意見を交わしながら、どのような主張が担当国の利益につながるのか、交渉のなかで何を譲り、何を守るべきかを整理していきました。

ウガンダ大使を務めた田中さんは、自国だけでなく、似た状況にある国についても調べたといいます。
「自国と似た状況にある国についても知ることで、他国との共通点や政策の違いを整理でき、話し合いにも入りやすくなりました。一方で、似た立場にない国のリサーチが十分ではなかったことは、今後の課題です」(田中さん)
同じくウガンダ大使を務めた松岡さんも、ウガンダと国際刑事裁判所との関係や財政状況などを調査しました。
「ウガンダにとって何が利益になるのかを考えるために、自国と国際刑事裁判所との関係などを調べました。情報を探し、その内容を理解する力がついたと感じています」(松岡さん)
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異なる意見を取り入れ、合意点を探る
大会当日は、各国が全体に向けて自国の立場を表明するスピーチを行った後、グループに分かれて議論や交渉を重ねました。
今回の会議では大国が設定されておらず、生徒が大使を務める国には発展途上国が多く含まれていました。国同士で共通する意見がある一方、それぞれの事情から譲れない部分もあります。各国の主張を踏まえながら合意点を見つけることは、決して簡単ではありません。

「前回よりも、何を具体的に調べればよいかが分かっていたため、スムーズに他国の大使と話すことができました。グループで話し合う際に、誰もが意見を言える雰囲気をみんなでつくれたことも印象に残っています」(小林さん)
相手に理解してもらうためには、自分の主張を伝えるだけでなく、相手の立場や会議の流れを考えることも必要です。
「その場の状況や相手の立場を考え、理解してもらえるように話すことを意識しました。他国の意見を取り入れながら交渉することは難しかったですが、自分にはなかった考え方を知ることができたのが面白かったです」(原田さん)
ウガンダ大使のペアは、同じアフリカ連合(AU)に属する国々と集まり、それぞれの立場や論点について意見を交わしました。
「ウガンダが譲れる部分と譲れない部分を考えながら交渉することに難しさを感じました。各国から新しい政策や妥協案が提案され、『この条件なら受け入れられる』と話し合いが進んでいくところに、模擬国連大会ならではの面白さを感じました」(松岡さん)
昨年度の経験を生かし、より主体的に議論へ
九州では模擬国連大会に取り組む学校がまだ少なく、本校の生徒にとって、全国大会は貴重な実践の場です。
2024年度までは、8月の大会が初めて本格的な模擬国連に触れる機会となり、周囲の議論についていくことに精いっぱいになる場面もありました。そこで2025年度からは、大会前に北九州市立大学などで大学生の会議を見学したほか、オンラインでの練習にも参加。さらに、昨年度から継続して参加する生徒が多かったこともあり、これまで以上に落ち着いて議論に臨むことができました。
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「前回よりも会議の話し合いにしっかり参加できました。話の流れについていくだけでなく、自国の状況や政策を分析し、その立場を考えながら発言できるようになったことに成長を感じています」(田中さん)
「以前よりも積極的に他国の大使と交流し、相手に伝わるように話すことを意識できました。これからは事前準備をさらに充実させ、分かりやすい伝え方を工夫したいです」(原田さん)

引率した笹栗麻由先生も、昨年度より発言や議論への参加が増えた生徒たちの姿に成長を感じたと振り返ります。全体に向けたスピーチでも、他校の生徒に劣らず、担当国の大使として落ち着いて堂々と主張を伝えることができました。
模擬国連で得た学びを、これからの学校生活へ
担当国について調べ、自国の立場を踏まえて他国の大使と交渉する。生徒たちはその過程で、自分たちの主張を伝えるだけでなく、相手の意見を聞きながら合意点を探ることの難しさと大切さを学びました。
「まったく知らない人と難しい問題について話し合い、一緒に解決方法を見つける経験ができました。学校生活でも、クラスの人たちと話し合いながら、さまざまな問題を解決していきたいです」(小林さん)
一方で、他国の大使とのコミュニケーションを、今後の課題として挙げた生徒もいます。
「積極的に他国の大使と関わる姿を見て、自分ももっとコミュニケーションを取る必要があると感じました。学校生活や進路を考える場面でも、自分から相手に働きかけることを意識していきたいです」(松岡さん)
担当国について調べ、自国の立場を踏まえて他国の大使と交渉する。生徒たちはその過程で、自分たちの主張を伝えるだけでなく、相手の意見を聞きながら合意点を探ることの難しさと大切さを学びました。
飯塚高校では、模擬国連を国際社会への理解を深め、協働性や主体的な課題解決能力を育む活動と捉えています。大会で得た手応えと見つかった課題を次の学びへつなげながら、これからも生徒たちは教室の枠を越えた挑戦を続けていきます。
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