学習室をもっと快適に。福原澪さんの探究が「ENAGEED SUMMIT 2026」決勝大会へ【進路ブログ#16】

飯塚高校の福原澪さん(特進アカデミックコース・2年)が、全国の中学生・高校生を対象とするプレゼンテーション大会「ENAGEED SUMMIT 2026」の二次審査を通過しました。10月31日(土)に東京で開催される決勝大会「THE FINAL」に出場します。
先日の進路ブログでは、本校からエントリーした14グループの校内発表の様子を紹介しました。その中から決勝進出を決めた福原さんが取り組んできたのは、学校の学習室を、より多くの生徒が快適に使える場所にするための探究です。
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身近な困りごとから生まれた問いを、どのように調査や提案へとつなげてきたのでしょうか。単独で探究に取り組んできた理由や、その歩みを支えた先生とのやり取り、決勝大会に向けた思いを聞きました。
学習室を、もっと多くの人が快適に使える場所に
国公立大学への進学を目指し、特進アカデミックコースに転コースした福原さん。日々の学習の中で福原さんが考えていたのが、放課後の学習場所のことでした。
飯塚高校では今年度から聖堂校舎1階に学習室A・B・Cの3室を設け、生徒が朝や放課後に利用できるようにしています。特進コースだけでも1年生から3年生まで10クラスあり、学習室を使いたい生徒はたくさんいます。福原さんは、今ある学習室をもっと多くの生徒が快適に使えるようにできないかと考えました。
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そこで、まずは自分のクラスでアンケートを実施しました。「学習室が足りていない」という声に加え、上級生などほかの人が多いと周りが気になり、落ち着いて勉強しにくいと感じている生徒がいることもわかりました。誰もが気兼ねなく使える工夫があれば、学習室はもっと生かせるのではないかという気づきが、今回の提案の出発点になっています。
福原さんが提案したのは、一つの学習室を二つのゾーンに分け、集中して勉強したい人向けのゾーンにパーティションを設けるというアイデアです。
ENAGEED SUMMITへの取り組みを担当する新垣博文先生は、この提案を「ラーメン店の一人席のような学習スペースをつくれないか、というもの」と補足してくれました。学校にある使われていないパーティションを活用するほか、軽くて加工しやすいポリカーボネートを素材にしたパーティションの試作も検討しています。
提案にあたっては、パーティションがある場合とない場合で、集中のしやすさがどう変わるかを調べました。4人を対象に行った実験では、全員が「パーティションがある方が集中できた」と回答しています。
対象人数はまだ少ないものの、アイデアを実際に試し、利用する人の声を確かめることができました。今後はパーティションを試作し、より多くの生徒が快適に使える学習室づくりにつなげたいと考えています。
自分が見つけた課題だからこそ、単独で挑む
進路指導部長の冨田敦史先生によると、今年度は新垣先生の指導のもとで生徒たちの探究や発表の質が大きく高まり、その積み重ねが今回の決勝進出にもつながったといいます。
探究の授業は、6月に行われた体育祭を題材に、「来年3年生として主役になる自分たちが、体育祭をより良くするには何を変えればよいか」を考えるところから始まりました。身近な例で考え方をつかんだうえで、一人ひとりが身の回りで「こうだったらいいのに」と感じることへ視野を広げていけるよう、新垣先生は授業を進めてきました。
ENAGEED SUMMITには4人以下のチームでエントリーできます。複数人で取り組むグループがほとんどの中、単独で挑戦したのは福原さんだけでした。
「みんなと調べたい課題がそれぞれ違っていたので、自分が気になったことを大切にしたいと思い、一人で取り組むことにしました」
単独での挑戦だった分、自分で考え、判断していく場面も多かったといいます。取り組みを振り返る言葉からは、探究そのものを楽しんできた様子が伝わってきました。
「周りが意見を交換しながら進める中で、一人で考えるのは大変なこともありました。でも、そのぶん自分が思ったことをとことん追究できて、新鮮で楽しかったです」
先生たちの言葉に背中を押されて
単独で挑む福原さんの支えになったのが、先生たちの存在です。
「『これってどうなんですか』と疑問を投げかけたときに、先生も本気で調べてくれたり、協力してくれたりしたことが、一番助かりました」
中でも心に残っているのが、特進コース長・小山貴大先生の言葉です。どう進めればよいか悩んでいたとき、小山先生は「もっと自信を持ってアイデアを言っていいと思うよ」と背中を押してくれました。福原さんにとって、前向きになれた一番の言葉だったといいます。
新垣先生も、福原さんがこのテーマにたどり着いたことを、次のように評価しています。
「毎日の勉強に真剣に向き合っているからこそ、見つかった課題なのだと思います。自分の身近な問題から、学習室のパーティションで集中力を上げ、学習の力を高めていくというテーマにたどり着いたのは、彼女らしくてよかったなと思っています」
自分の考えを受け止め、一緒に向き合ってくれる先生たちの言葉や関わりが、福原さんが探究を進める力になりました。
フィードバックをもとに、提案を磨き上げた
校内発表は、2年生の3教室をZoomでつないで行われました。発表時間は5分の予定でしたが、福原さんは7分近く話し、時間を超えてしまいました。
発表後には、株式会社エナジードの飯塚高校担当者から、パーティションの素材や今後の展開まで考えている点を評価されました。あわせて、「実験の対象人数を増やすこと」「誰にどのようなメリットがあるのかを、より明確に伝えること」という助言も受けています。
福原さんはこうした意見を踏まえて発表内容を見直し、二次審査用の動画とスライドを提出しました。二次審査の結果とともに届いたフィードバックでは、自分が利用して感じた課題について、アンケートや実験を通して周りの人がどう感じているかまで調べた点が評価されたそうです。
二次審査通過の知らせを聞いたときの気持ちを尋ねると、福原さんは「全く自信はなくて、まさか自分が通ると思っていなかったので、すごくうれしかったです」と話してくれました。
決勝大会では、発表時間が7分半までに延びます。福原さんは、校内発表では時間内に収まりきらなかった内容も生かしながら、より多くの生徒へのアンケートや実験の深掘りを進め、発表内容をさらに充実させていく予定です。
支えてくれる人への感謝を胸に、決勝へ
福原さんの探究について、冨田先生はこう話します。
「本校が進学に力を入れようとしている中で、今年度から学習室を設けました。黙々と勉強できる場所、友達と話しながら勉強できる場所など、勉強したいというニーズにもいろいろな形があります。実際に利用している生徒がいるからこそ、福原さんがそこに課題意識を持って探究してくれたのだと思います。飯塚高校の中で、勉強を頑張ろうとしている生徒たちが少しずつ増えている表れなのかなと感じています」
今後は2年生の学年合同ホームルームでも、福原さんが発表する予定です。冨田先生は「生徒と教職員が一緒になって考えるきっかけになればと思っています。本当によく通ってくれました。決勝大会もぜひ頑張ってほしいです」と期待を寄せています。
決勝大会に向けた思いを、福原さんはこう語りました。
「これまで、こういう挑戦をしたことがなかったので、周りで支えてくれている人たちに感謝して、自分にできることを全力でやりたいです」
「もっと快適に勉強できる場所があれば」という身近な思いから始まった探究が、全国の舞台へとつながりました。10月31日の「THE FINAL」に向けて、福原さんの挑戦は続きます。

